独ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは9日、「トランプの戦術:中国をスケープゴートに」と題する論評を掲載した。以下はその概要。

トランプ米大統領はこのほど、大統領の執務室オーバルオフィスで、「中国は私を選挙で敗北させるためにあらゆる手段を使うだろう」と述べた。トランプ氏は、この共産主義政権を攻撃するいかなる機会も逃していないようだ。新しい関税で北京を脅かしたかと思えば、ウイルスが武漢の研究所から発生したという証拠を持っていると主張したりする。だが実際のところ、米国の情報機関と世界中の多くの科学者は、新型コロナウイルスは動物に由来し、人工によるものではないと結論付けている。

トランプ氏が繰り返し新しい攻撃を仕掛けるのは驚くべきことではない。これらの攻撃は、新型コロナウイルス危機における自身の無能さから人々の注意をそらし、米国民にパンデミックのスケープゴートとして中国を示すことができるからだ。新型コロナウイルスによる国内での感染者数と死者数が増加を続ける中、多くの米国人は不安と恐怖を感じている。反中国のバイアスは大幅に増加している。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の3人に2人は中国を快く思っていない。

トランプ氏の選挙チームは、潜在的なライバルであるバイデン氏との選挙戦において、大統領は中国への言葉による攻撃から恩恵を受けることができると確信している。現在、いくつかの動画広告がソーシャルメディアで配信されている。その目的は、バイデン氏に「親中国」のレッテルを貼ることだ。だが、保守的な政治批評家であり、共和党の全国委員長を務めたマイケル・スティール氏は、「中国をスケープゴートとして扱うことは、トランプ氏に政治的な利益をもたらさないだろう」との見方を示した上で、「こうしたすべての態度と反中国の騒音は、トランプ氏が当初、武漢や他の都市の感染症対策を称賛していたことから注意をそらすためだけのものだ。だから私は、『中国は罪人だ』と言うことがトランプ氏を助けることができるとは信じていない」と述べている。

バイデン氏の選挙チームは現在、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対するトランプ氏の以前の称賛を利用している。バイデン陣営もまた、中国に焦点を当てた動画広告を出し、「トランプ氏こそ、新型コロナウイルスが米国で拡散していた今年1〜2月に15回も中国を称賛した」と主張している。

アジア系米国人の権益保護団体のRita Pin Ahrens氏は、「中国に対して、より強硬に反対した方の陣営に、深刻な結果がもたらされることになるだろう」と警告し、「米国の選挙運動における反中国の感情は、米国内のアジア系の人々の憎悪を刺激するかもしれない」と指摘している。(翻訳・編集/柳川)