南北境界の非武装地帯(DMZ)で起きた北朝鮮軍による韓国軍の最前方監視哨所(GP)銃撃をめぐり、韓国の有力紙が政府の「誤射説」に疑義を呈している。銃撃は「死亡説」も流れた金正恩・朝鮮労働党委員長が健在を誇示した翌日。意図的な挑発との見方もある。

中央日報などによると、銃撃に使われたのは、14.5ミリ機関銃。北朝鮮軍の代表的な対空火器で、4丁の機関銃を束ね、4連装高射銃(ZPU4)としても使われる。最大射程は8キロ、有効射程は1.4キロ(対空用は2キロ)、発射速度は1分間に550発から600発とされる。2013年12月に金委員長の叔父に当たる張成沢・労働党行政部長を残忍に処刑する際にも使用されたという。

今回の銃撃について、韓国軍関係者は「当時、北朝鮮軍GPは勤務交代の時間で、濃い霧がかかっており、GP近くの畑で日常的な営農活動が目撃された」と説明。北朝鮮軍GPには韓国のGPに向けて固定した機関銃があり、銃器を点検する過程で偶発的に発射されたこともあり得る、としている。

これに対し、中央日報は「北朝鮮軍が軍事的に極めて敏感なDMZで偶発的に射撃を行い、その銃弾が偶然にも韓国軍のGPに4発も命中させるのが常識的に可能なことなのか反論が少なくない」と指摘。韓南大学国防戦略大学院のヤン・ウク兼任教授の「DMZで射撃するというのは北朝鮮高位層の許可を得ずには不可能だから故意性を排除するのは危険だ。特に南北軍事当局が試験的に撤収したDMZ内で銃撃が発生したというのはおそらく政治的行為になる可能性がある」との分析を紹介した。

朝鮮日報は社説で「14.5ミリ機関銃は通常なら装甲車をも破壊する威力を持つようだ。ややもすれば韓国軍の将兵が命を落とす危険もあった」と言及。「ところが韓国軍と青瓦台(韓国大統領府)は被弾直後から『誤射の可能性』に触れ、まともな抗議もしていない」と文在寅政権を非難した。

さらに「北朝鮮の無反応が『誤射』の兆候だというのだ。銃を撃った北朝鮮は何も言っていないが、銃撃を受けたこちらが先に『ミス』と擁護している。北朝鮮のミサイル発射も誤射と言いたいのだろうか」と論難。「この政権は『金正恩身辺異常説』を取り上げた元脱北者の政治家たちに対しては、人身攻撃のような非難をためらわない。しかし、われわれのGPを高射銃で命中させた北朝鮮に対しては、謝罪さえ求めず逆に擁護している。『何か他の目的と意図があるのではないか』と疑問に感じるほど度が過ぎている」と語気を強めた。(編集/日向)