2020年12月2日、仏国際放送局RFIの中国語版サイトは、中国によるチベット高原でのダム建設に向けた動きに対して、インド国内から憂慮の声が出ていると報じた。

記事は、中国メディアの報道として、中国電力建設集団の董事長が11月26日に中国水力発電工程学会40周年記念総会にて、以前中国政府が「第14次五か年計画および2035年のビジョン」で打ち出していたヤルンツァンポ川下流の水力発電開発計画について「実施以外にない」と強調したことを伝え、ダム建設工事が近い将来始まる可能性があるとした。

その上で、チベット高原にあるヤルンツァンポ川が南アジア地域の重要な水源であり、中国からインドへと注ぐ河川であると紹介。このため、この川の水力発電開発は両国間においてセンシティブな話題であり続けたとし、2008年ごろに中国が「南水北調」プロジェクトの一環としてダム建設を計画しているとの情報が流れ、当時のインド首相だったシン氏が訪中時にこの件について言及したと伝えている。この時は、09年に当時の中国水利部長が「ヤルンツァンポ川から黄河に水を入れる計画はない」と明確に否定したという。

記事は、中国側のダム計画について、インドの政治学専門家が数日前にインド紙インディアン・エクスプレスに「ヒマラヤの水爆弾」と題した文章を掲載、下流の田畑が痩せること、生物の多様性が破壊されること、地震リスクが高いことから「沿岸各国に対し、ヤルンツァンポ川へのダム建設反対を呼び掛けるべきだ」と主張したことを紹介した。

また、ヒンディスタン・タイムズもこの問題に触れ「現在、中印両国が国境地域で衝突を起こしている状況を鑑み、インドは中国がどのようにしてヤルンツァンポ川を『武器化』するか評価しなければならない。中国にこの川を支配されれば、インド経済は首を絞められることになる」と報じたことを伝えている。

さらに、シンガポール華字紙・聯合早報が、下流地域で乾季でも水が使えるようになるなど、ダム建設はインドにも恩恵を与えるという専門家の見方を伝える一方で、ダム建設がインドにとって恩恵になりうるかの前提条件は「良好な中印関係にある」と指摘したことを報じた。(翻訳・編集/川尻)