[ロンドン 11日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)<8306.T>とみずほフィナンシャルグループ<8411.T>は、過去半年間にロンドンで計100人近くの人員を新規採用し、トレーディングや投資銀行の部門の強化を図っている。金融業界全体として、欧州連合(EU)離脱が英国内の金融サービスに及ぼす影響を懸念してロンドンからEU域内に人員を移しているのとは逆の動きだ。

ロイターが関係者への取材や内部メモなどから集めた情報に基づくと、みずほはこれまでに25人余りのシニアバンカーとトレーダーを確保。MUFGも7人のシニアインベストメントバンカーを招いた上に、ドイツのDVB銀行から航空ファイナンスチームを引き抜き、リスク・法令順守担当のバックオフィス要員数十人を採用した。

一方、欧米の大手行は、ブレグジット(英のEU離脱)に伴って英国でEU域内の顧客サービスができなくなることを恐れ、ロンドンから欧州大陸各地の拠点に従業員を配置転換しつつある。直近のEYファイナンシャル・サービシズ・ブレグジット・トラッカーによると、43の金融機関がEU域内で2400以上のポストを埋めるために現地採用を進めると発表している。ロンドンからEU域内に移る雇用は7000人前後に達する公算が大きい。

ただ複数のヘッドハンターの話では、こうした中でも大手邦銀がロンドンで採用を積極化しているのは、これまでに雇用を圧縮しすぎたことや、人材獲得競争が弱まっている機会を利用しようとしているとの側面がある。

モーガン・マッキンリーのシニアマネジャー、ベン・ハリス氏は「邦銀勢は過去4−5カ月にわたって採用を進めてきており、昨年末にかけて本当に活発だった。彼らは人員増について非常に慎重な他の大手行から何人かの重要な人材を取り込んだ」と述べた。

みずほの場合は、グローバル市場部門の新たな責任者となったアシフ・ゴダル氏の下で、バークレイズやドイツ銀行、HSBCなどのライバルから、債券やデリバティブのトレーダーを移籍させた。ゴダル氏は「われわれは採用活動で常に機会を狙っており、欧州銀が身の丈を縮めていることで恩恵を受けている」と説明するとともに、推進しているのは法人顧客に金融商品をクロスセリング(重ね売り)する能力を高め、大きくなったバランスシートを有効活用するという戦略だと付け加えた。

モーガン・マッキンリーのハリス氏は、過去の例を見ると邦銀は市場環境が厳しくなると人員を大きく減らした後で、状況が改善すると急激に人を増やす傾向があると指摘した。

実際MUFGも昨年5月に500人のロンドンのシニアバンカーを解雇したものの、現在はこの地域を統括するジョン・ウィンター氏がみずほと同様に、クロスセリングに注力する目的で態勢増強を続けている。

リフィニティブのデータによると、世界の投資銀行のリーグテーブルに照らせば、MUFGとみずほは、エクイティ、新規株式公開(IPO)、債券、合併・買収のいずれの部門でもトップ10に入っていない。もっとも世界のシンジケートローンのリーグテーブルではみずほが3位、MUFGは8位を占めている。