[ワシントン 29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は28─29日にテレビ会議方式で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、金利据え置きと量的緩和の維持を決定した。また、新型コロナウイルスの感染拡大で短期的な経済成長が阻害されるだけでなく、中期的にも「著しいリスク」がもたらされるとの認識を示し、この難局を乗り切るために「あらゆる手段を行使する」と改めて表明した。

FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くことを全会一致で決定。FOMC声明で「この厳しい局面で米経済を支援するためにあらゆる手段を行使し、雇用最大化と物価安定という目標を促進することに全力で取り組む」と表明した。

パウエルFRB議長はFOMC後のテレビ会議形式による記者会見で、一部の州が厳格なルールの下で店舗や飲食店の再開を容認し、最初の回復局面が間もなく始まると指摘。同時に、たとえそれが夏季終盤まで持続したとしても「新型コロナウイルスの新たな感染拡大リスクを生む期間でもある」と述べた。

同議長は、社会的距離ルールの緩和が進むに連れ「人々が自宅から出て、再び消費し始め、失業(率)が下がり、経済活動が上向くだろう」と指摘。「それは大幅な拡大になるだろう。(しかし、)すぐさま(米経済を)危機前の水準に回帰させる可能性は小さい」とした上で、「それがいつ起きて、どの程度の数字(規模)になりそうなのかを正確につかもうとすることは非常に難しい」と述べた。

また、米国の家計と企業が公衆衛生上の緊急事態を乗り越えられるよう「FRBは可能な限りのことを実施している」と表明。新型ウイルスの感染拡大でもう1年、経済成長が阻害される恐れがあるとの認識を示し、「来たるべき回復が可能な限り力強いものになるよう、FRBは政策手段を活用し続ける」と述べた。具体的には、財務省が合意すれば既にある貸出プログラムを拡充する意思があるとした。

その上で、金融政策は現時点では適切に調整されているとしながらも、将来的にそれが変化する可能性があると指摘。「回復を力強いものにするために、より多くの支援が必要になる可能性もある」と述べた。

<政策ツールを「力強く、積極的に」利用>

商務省がこの日に発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は年率換算で前期比4.8%減と、2008年第4・四半期以来の大幅な落ち込みとなった。

パウエル議長は、第2・四半期の米経済が2桁台のマイナス成長に陥ると予想。失業も大幅に増加するとし、感染拡大抑制措置が緩和され、経済が再び動き出した後も、消費者が消費活動を再開するまでに「ある程度の時間がかかる」との認識を示した。

FRBは声明で「コロナウイルスの感染拡大は、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらたしている。ウイルスと公衆衛生を守るために講じられた措置は、経済活動の急速な収縮と失業の急増を引き起こしている」とし、「需要低迷と原油価格の大幅な下落は、消費者物価の上昇を抑えている。国内外の経済活動の混乱は、金融状況に多大な影響を与え、米国の家計や企業への信用の流れを損なっている」と指摘した。

その上で「現在進行中の公衆衛生の危機は短期的に経済活動、雇用、インフレの大きな重しとなり、中期的な経済見通しに著しいリスクをもたらす」とした。

政策金利の今後の道筋については、FF金利の誘導目標は「経済が最近の出来事を乗り切り、雇用最大化と物価安定の目標を達成する軌道に乗ったと確信するまで」0─0.25%に維持されると見込んでいるとし、3月15日に緊急利下げを決定した際の声明の文言を踏襲した。

FRBはこのほか、市場の安定化に必要なだけ財務省証券と住宅ローン担保証券(MBS)などの買い入れを継続すると表明。大規模な翌日物・ターム物レポオペの実施も継続するとした。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は、今回のFOMCでFRBが中期的な下方リスクに対する懸念を示したことは、向こう数年間は極めて緩和的な政策が維持される可能性があることを示唆しているため、注目に値すると指摘。「FRBがあらゆる手段を行使すると声高に表明すれば、それだけでかなりの支援となる」と述べた。

新型ウイルスの感染拡大を受け、FRBはこれまでに緊急利下げを実施したほか、無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決定。今回のFOMCはFRBがこうした対策を打ち出してから初めての開催となった。

*内容を追加しました

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)