[ロンドン 7日 ロイター] - 新型コロナウイルス対策などの影響で世界的に政府の借り入れ需要が膨らみ続け、各国とも投資家の資金をいかに取り込むか知恵を絞らなければならなくなった。そこで100年債、環境債(グリーンボンド)、経済成長と返済額を連動させた個人投資家向け国債などが発行されたり、米国で数十年ぶりに20年債が復活したりするなど、工夫をこらした調達手段が次々に登場している。

ナットウエスト・マーケッツの試算では、米国とユーロ圏、英国における今年の国債の純発行額は約4兆2000億ドルに達する見込み。これは過去4年間の合計発行額にほぼ等しい。

大半は中央銀行の買い入れで吸収されるだろうが、政府としては借り入れコストを抑え続けるためにも、さまざまな調達手段を駆使しながら十分な投資家を確保する必要が出てきている。

今週にはイタリアが経済成長と返済額がリンクする個人投資家向けの国債の募集に乗り出した。年内に再発行することも検討中だ。タイも5月に個人投資家向け国債を売り出しており、ベルギーとフィンランドはドル建て債を発行。ユーロ圏は「共同債」発行の実現に向けて歩み始めつつある。

バークレイズの欧州・中東・アフリカ地域公債責任者リー・クンベス氏は「発行量が増えれば増えるほど、中核的な投資家層との接点を保ち、流動性を確保できる範囲内で、多種多様な市場を探し出そうとする機会が多くなる」と指摘。ドル建て債や期間100年をはじめとする超長期債、物価連動債などが発行される可能性が非常に大きくなっているとの見方を示した。

政府の側からすると、こうした取り組みは投資家層を広げてくれるだけでなく、国内銀行にかかる重圧も和らげてくれる。いざ金融危機が発生した場合、国債保有が銀行に偏在しているとそれ自体がリスクになり得るからだ。

イタリアが個人投資家の国債保有を段階的に現在の2倍まで引き上げようとしている理由の1つもそこにある。売り出しているのは、名目成長率次第で返済額が変わる国債。M&Gインベストメンツの債券責任者ジム・リービス氏は「成長率が高ければ、投資家により多く償還する余裕ができる。成長がさえない場合、利払い負担が軽減される」と説明した。

<永久債も>

オーストリアが先月発行した20億ユーロの100年債の応募倍率は9倍を超えた。2017年に売り出された初の100年債を買った投資家は元手の2倍の資金を得るとみられるのだから、今回人気が沸騰したのも驚くに当たらない。

相対的に利回りが高い超長期債は、世界中で12兆ドルを超える債券の利回りがマイナスに沈んでいる中では、年金基金や保険会社にとって魅力がある。

一方発行する政府も低い借り入れコストを長く固定できるメリットがある。オーストリアの100年債の表面利率は0.85%。カメス・キャピタルは、100年債の発行が「ポストコロナ」時代にはありふれた光景になる可能性があるとみている。

100年債の次には、満期がなく金利だけを払い続ける永久債が普及するのだろうか。著名投資家のジョージ・ソロス氏は、欧州連合(EU)こそがそれを検討すべきで、表面利率0.5%の永久債を発行すれば数兆ユーロ単位の調達が可能だと主張する。

イールドカーブの「隙間」を利用しようとしているのは米国で、1986年5月以降で初めて20年債を発行した。

<時代に即した起債>

環境重視の風潮を巧みに利用した政府の起債も成功を収めている。オランダが6月23日に発行した14億2000万ユーロのグリーンボンドは、わずか4分間で完売した。

同国財務省高官は「われわれが多額の資金調達を必要とする現在の状況は残念だが、各国政府にとってテーマがある債券、つまりグリーンボンドに着目する機会になっている」と述べた。

フランスもちょうど、グリーンボンドで150億ユーロを買い入れると表明したところだ。ドイツは9月に初のグリーンボンドを銀行のシンジケート団方式で発行する予定だ。ドイツが入札方式の代わりにシンジケート団方式を5年ぶりに採用したのは、より多くの投資家を対象にするとともに、大規模発行を迅速に消化できるようにする狙いだ。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのファンドマネジャー、ロス・ハチソン氏は、シンジケート団の方が今後国債発行手続きで恒常的になるだろうと予想している。

(Dhara Ranasinghe記者)