[東京 5日 ロイター] - 金融庁の氷見野良三長官は5日、ロイターとのインタビューで、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた企業の資金繰りを支援している地方銀行について「金融仲介機能と健全性は両立しなければならない」と指摘した。健全性の維持には、経費削減や増資など「各行の工夫が必要」と述べる一方、「今そういうところの議論をしないといけないとは思っていない」と語った。地銀の財務健全性に「懸念があるようなところがあるとは思っていない」と強調した。

氷見野長官は「コロナ対応で大忙しの銀行の負担を今増やすことはできないが、当局としては1つ1つの銀行で何が起こっているのか、実態の把握が必要」と指摘。一律の規制・監督ではなく、「実態把握に基づく個別の対話を丁寧にやるのが、われわれが一番やりたいことだ」と述べた。

地銀の合併に関する独占禁止法上の特例、金融機能強化法の延長など、金融庁は地銀に関する制度を整備してきた。氷見野長官は「経営が苦しくなったからその2つというより、もう少し前向きに顧客の役に立つための選択肢としてそういうものがある。有益だという場合はもちろん(制度の利用を)検討されたらいいと思うが、これが常に答えというわけではない」と述べた。地銀の経営統合についても「良い統合もあれば、悪い統合もある」と話した。

金融庁は昨年末に金融検査マニュアルを廃止した。氷見野長官は「コロナの後、1人1人の事業者にどのような事業の可能性があるか、金融機関が本気で顧客に立ち向かわなければならない」と指摘。引き当てや債務者区分の判断に当たっては、機械的・一律の対応ではなく、事業の将来性を見極めて行うべきだと述べた。

<ブロックチェーンの育成に尽力>

金融国際審議官として、氷見野氏はブロックチェーン技術に関する国際的なネットワーク作りに尽力した。氷見野氏はインタビューで「今日ある仮想通貨について、特別な振興策を取りたいということを考えているわけではない」とする一方、「未来の分散型金融技術がもたらす可能性もフルに花開かせつつ、さまざまな社会的、公共的な目的と両立する形で成長していくために必要なことは、できるだけサポートしていきたい」と語った。

日銀が検討している中央銀行デジタル通貨については「明日スイッチオンすればできるというところまでやってみるということは非常に大切だ」と述べた。

氷見野氏は1983年に東京大法学部卒、旧大蔵省入省。2016年7月に金融国際審議官。今年7月20日付で金融庁長官に就任した。

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(和田崇彦、木原麗花 編集:山川薫)