[ロンドン 25日 ロイター] - 英国のスナク財務相は25日、4月に始まった2020/21会計年度の政府借入金が3940億ポンド(5260億ドル)になると明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大への対応に費用がかさむためで、財政赤字は第2次世界大戦以降で最悪の水準に膨らむ。

スナク氏は議会で現会計年度の歳出計画を発表し、英経済成長率について、20年は18世紀初頭以来最悪となる11.3%のマイナス成長に陥るものの、21年は5.5%のプラス成長を回復するとの見通しを表明。

「公衆衛生危機の収束が見えない中、経済危機はまだ始まったばかりだ。国民の命と生活を守ることを最優先する」と述べ、医療、インフラ、防衛、失業対策関連の支出を増やすと約束した。

20/21年度の借入金の対国内総生産(GDP)比率は19%と、世界的な金融危機後の水準のほぼ2倍で、戦時以外では最悪の水準。19/20年度の借入金は約560億ポンドで、対GDP比率は2.5%だった。

スナク氏によると、今年の新型ウイルス対策費は現時点で2800億ポンド。当初予想の約2000億ポンドをすでに上回っている。

歳出増の一部を相殺するために、医療保健部門以外の公務員給与を凍結するほか、対外支援を削減する。

ただ、公的サービスの多くは人員不足が続いているため、赤字を埋めるためにスナク氏は今後、増税の検討を加速するとみられる。

同氏は「景気が回復し次第、財政を持続可能な状態に戻す責任がわれわれにはある」と強調した。

新型コロナワクチンを巡る前向きなニュースが相次いでいるが、英予算責任局(OBR)は英経済がコロナ危機以前の水準を回復するのは2022年終盤になると予想。欧州連合(EU)との通商合意がまとまらない場合は、さらに後ずれするとした。

スナク氏は演説で、EU離脱(ブレグジット)には触れなかった。離脱後の移行期間は今年末に終了する。

OBRは、新型コロナで長期的にGDPの約3%相当の損失が生じる公算が大きいとし、失業率は現在の4.8%から7.5%まで悪化する可能性が高いとした。

来年の1日当たりの政府支出平均はインフレ調整後で前年比3.8%増と、15年ぶりの高い伸びになる見通し。OBRは、支出を歳入に沿った水準に抑えるには、GDP比1%相当の歳出削減か増税が必要だと指摘。また、公的債務はさらに増える見通しで、現在のGDP比101%から2023/24年には109%強になると予想した。

英国はブレア政権下で対外支援の対GDP比率を0.7%とする目標を設定。ジョンソン現政権もこれを踏襲していたが、今回の歳出計画で0.5%に削減した。

スナク財務相は「英国が財政上の緊急事態に見舞われている時に、対外支援の対GDP比率を0.7%とする確約を堅持することは、正当化が難しい」と指摘。「英国はGDPの0.5%を支出し、世界の最貧国を支援し続ける。財政状態が許せば、将来的に0.7%に戻す」と述べた。

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