ワーママの転職「こんなはずじゃなかった…」(前編)――3人の座談会から見えた“ワーママ転職のリアル”

「ワーママというだけで転職のハードルが高そう……」「本当に私にあった条件で働けるのかな…?」

ワーママとして転職を考え始めると、多くの方がこのような悩みを抱えます。周りに「転職」のことはなかなか相談しづらいので、悩みは深まるばかりです。

そこで、今回は実際にワーママとして転職を経験した3人の方に“転職のリアル”について語っていただきました。「こんなはずじゃなかった」「もっとこうすればよかった」――3人の赤裸々な話から、後悔しないワーママ転職の秘訣に迫ります。

座談会 参加者紹介
Aさん(写真左)

週2出勤、週1在宅の週3日勤務という働き方を実践しいている傍ら、アクセサリー作家としても活動。中学3年生の子どもを持つ。

Bさん(写真真ん中)

ベンチャー企業でフルタイム勤務。小学校2年生の子どもを持つシングルマザー。

Cさん(写真右)

人事BPOサービスの導入コンサルタントとして勤務しつつ、現在も転職を検討中。小学校2年生と4歳の子どもを持つ。


ワークライフバランス? キャリアアップ? ワーママたちが転職を考えた理由

――まず、みなさんの「転職のきっかけ」について教えてください。

Cさん:私は新卒で大手人材支援サービス会社に入社しましたが、夫のアメリカ転勤に伴い退職しました。アメリカでは主婦をしていたのですが、「また働きたい」という思いが強く、帰国してから転職活動を開始。残業が少なく、ペースを落として働ける事務やアシスタント職に絞って再就職先を探していました。無事に条件をクリアし、時短制度も利用できる会社に採用されたのですが、面接で聞いていた話と実態がかけ離れていて驚きました…。

時短制度はあったものの、それまで時短取得者はゼロ。時短という働き方に周囲の理解が全くなく、残業が頻発。「こんなはずじゃなかった…」と思い、試用期間中に退職しました。その後、改めてやりたいことを考え直し、キャリアカウンセラーの資格を取ってから人材コンサルタントの会社に就職。そこでの仕事は楽しかったのですが、小さな会社で業務の広がりが期待できなかった。「もっと専門的なスキルを身につけられる環境で働きたい」そう思い、いまの人事BPOサービス会社に転職しました。

 

Bさん:私は学生時代から続けていた塾講師を、出産を機に辞め、子育てが落ち着いたタイミングで再び塾にアルバイトとして復職しました。ただ、その頃から夫と不仲で、結局離婚することになってしまい…。「ちゃんと働かなきゃ」と思い、バックオフィスの仕事に就きました。

ただ、その職場はすごく激務で。毎日終電、土曜の子連れ出勤も当たり前だったんです。「成長している実感もない。働く意味を見出せない」そう思い、スキルアップを目指し人材支援サービス会社に転職しました。その会社でも一次面接で「19時半にはみんな帰っているよ」と言われていたのですが、結局私が入ってから業務量が増えてしまい。

がむしゃらに3年間働き「やりきった」と思ったタイミングで、昔から興味があった「子育て」の仕事に挑戦したいと思うようになりました。そんなとき、保育士の人材支援の会社から声がかかり「これはチャンスだ」と思い面接を受けることにしたんです。

そのときには、「小学生の子どもがいるので、土日は必ず休みます」と面接でははっきりと伝えていました。にもかかわらず、その会社にも休日出社があった。子育てしながら働けるような職場ではなかったんですね。結局、その会社を辞めて、いまはキャリア支援サービスを提供するスタートアップで現場の責任者をしています。

 

Aさん:私の場合は、新卒入社した大手電気メーカーに7年勤めた後、大手音楽関連会社のマーケターに転職しました。その後、出産し育児休暇の後、夫と同じ部署であったため同社のバックオフィスに異動したんです。バックオフィスの業務は初めてでしたが、資格などを取得し、前向きに取り組みました。ただ、子どもが小学校に上がるタイミングで「やっぱりマーケティングの仕事がしたい」と思い、社内公募に応募し、異動が叶いました。そこでは自分の経験値を活かし、いろいろな企画を立ち上げ、精一杯働きました。

そんなとき、小学5年生になった娘が「私の夢は、家に帰ってきたらママがいること」と言い出して。ちょうど会社が早期退職制度を募っている時期だったので、「娘の夢を叶えることは私が仕事を辞めれば簡単に叶えられることだし、中学受験を一緒に取り組みたい」と退職することにしました。でも、興味があったアパレル関係の会社からお声がかかり、少々迷いましたが、ずっとやってみたかった仕事だったので、結局転職してしまったんです。

でも、その会社はそれまで以上に忙しい上に、社長がワンマンで……。結局、1年で退職しました。その後は昔から興味のあったWebグラフィックをスクールで学び、今は外勤2日・在宅1日の週3日勤務というジップワークという働き方をしながら、アクセサリー作家としても活動しています。

「こんなはずじゃなかった…」ワーママたちの転職、どんなことに後悔した?


――先ほどのお話と重複する部分もあるかと思いますが、改めて転職で後悔したことについて教えてください。

Aさん:アパレルへの転職は、今となっては良い経験をしたと思っていますが、もっとしっかり考えてから転職してもよかったかなと思っています。もともとその前の会社を退職して、娘の中学受験に寄り添うつもりでいたんですけど、お声掛けいただいて、他社と比較することなくすんなり転職してしまった。ずっとやってみたかった仕事ではありましたが、忙しいし、社長はワンマンだし、これまでの常識はそこでは通用しなかった……。かなりカルチャーショックを受けました。

 

Bさん:私も保育士の人材支援会社に入るとき、「子育てしながら働けますよ」という言葉を鵜呑みにして、転職先を選んでしまい後悔しました。気になる会社から声がかかると、つい嬉しくてちゃんと調べずに転職を決めてしまう。いま考えると浅はかだったと思います。今なら、現実をちゃんと伝えてくれる会社の方が信頼できると感じます。「子育てしながらだと、こんなところは難しいかもしれない」と正直に話してくれる方がいい。それから、働く時間に関係なく、成果は正当に評価される会社に入りたいと感じます。周りに合わせて帰りづらいなどのストレスを感じずに働けると思うので。

 

Cさん:私が後悔したのは初めて転職したとき。そもそも聞いていた条件と全く違ったので。「時短制度が使える」ことが決め手となって就職したのに、時短制度を使えても残業も休日出勤もある。しかも聞いていた業務よりもさらに単調な業務ばかりで、全く自分には向いていないという状況でした。でも、こうした状況になってはじめて「本当にやりたいこと」を考えることができたように思います。だから、私にとっては、この経験は無駄ではなかった。実はいまも転職を検討しているんですけど、色々後悔してやりたいことが明確になったので、いまはとてもポジティブな気持ちです。

忙しくても内省と転職先の吟味を。ワーママ転職を成功させるポイント


――転職を検討しているワーママたちにアドバイスがあればお願いします。

Aさん:「何のために働くか?」を明確にすることだと思います。働く目的は、人それぞれ違うと思いますが、それをちゃんと考えてから転職しないと、長続きしないし、結局またストレスがたまると思います。私は、ワーママ正社員として働いていた時、「育児と仕事が両立でき、どちらも順調にいっていればそれでいい」と漠然と思っていました。でも、後輩が私より先に昇進したとき、軽くショックを受け、悔しいという感情が沸き起こりました。「私、やっぱりキャリアを諦めたくなかったんだ。」と気付き、ワーママだからと自分で自分のキャリアの可能性に蓋をしてしまっていたのかもと後悔しました。そこからキャリアを目指すという方向もあったと思うのですが、なぜかプツンと糸が切れたようになり、正社員として働くことを辞める決断をしました。今はキャリアを意識しない働き方をしていることで、そういったジレンマから解放されて、ワークライフバランスがとれていると思います。

 

Cさん:ワーママだからと諦めることなく、自分のやりたいことをしっかりと考え抜いて「ここだけは譲れない」というポイントを求めることが大切だと思います。もちろん働く上で時間的な制約はあると思いますが、待遇などの条件面にとらわれすぎないこと。ぜひ自分のやりたいことが叶えられる職場なのかを見極めて、転職先を決めて欲しいと思います。

 

Bさん:「ワーママだから無理」と卑屈にならず、「ワーママだから頑張ってます」と傲慢にならず、バランスよく頑張ることが大事だと思います。その上で、自分のやりたいことを見極めて、「ここだけは譲れない」というポイントを明確にすることが大切だと思います。特に気をつけてほしいのが、安易に仕事を選ばないこと。子育てや仕事で時間がないことはよくわかるのですが、無理に時間を捻出してでも転職先を吟味してください。

 

ワーママとして転職をするとき、現状に対して「一刻も早く何とかしなければ」と感じて動く方もいるでしょう。そういう状況では、気持ちが焦るあまり「本当に自分は何がしたいのか」「自分は働くうえで何が譲れないのか」を内省しないまま転職活動に突入し、転職先を十分に吟味しないで決めてしまう…ということが起こりがちです。

実際に限られた時間で内省や転職先の見極めをするのは難しいところでしょう。後編ではこうした困難な状況の中でも後悔しない転職をするにはどうすればいいかについて、キャリアアドバイザーの方に伺います。ご期待ください。

文・田尻亨太 編集協力・武井梨名(株式会社LiB) 顔イラスト・yoko


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