「損な役回りばかり…」。永遠に終わらない“悪循環思考”とは?ーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第13回目です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、読むリラックスタイムですら学びの時間に変えることができます。私が強くお勧めする選りすぐりのマンガの名シーンの1コマを解説することで、より多くの方に名作の良さを知っていただけたら幸いです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「1つ、囚われない。2つ、侮らない。3つ、恨まない」

(『インベスターZ』第3巻credit.18より)


大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

女子投資部結成!

道塾学園の創設者・藤田金七(かねしち)の玄孫(やしゃご)・美雪は、財前から「投資家としては三流だ」と言われてしまいます。プライドを傷つけられた美雪は、道塾学園の投資部に対抗して、自分も投資部の設立を思いつきます。

友人の町田倫子(のりこ)と久保田さくらに声をかけ、3人で女子投資部を結成することにした美雪。投資部始動に先立ち、入部した2人に誓いを立てさせます。それが「本日の一言」である「1つ、囚われない。2つ、侮らない。3つ、恨まない」です。

2人は、「株の取引に身も心も奪われないこと。少しくらい儲かっても調子に乗らないこと。何かあっても自己責任と受け止めること」という誓いに同意。美雪は、改めて「道塾の男子に負けない」とライバル心を燃やすのでした。

うまくいかない要因を外に求めても解決できない

この3つの戒めは、投資に限らず、ビジネスでも十分に通用する内容です。人が失敗する要因をたどっていくと、ほぼこの3つのいずれかにたどり着くのではないかと言っても過言ではないくらいの原則だからです。

3つの戒めが、人の行動をどのように縛っているのか、事例を見てみることにしましょう。あるテレビ局のアシスタントプロデューサーのお話です。その人は局に勤めて数年経っており、自分の仕事に自信を持つようになっていました。ところがある時、自分では「昇進間違いなし」(囚われる)と思っていたプロデューサーに選ばれず、他の人が選出されました。

その人は腹を立て、「上司は自分の実力を理解していない」(恨む)と思いました。代わりに選出された人は、どう考えても自分より優れているとは思えません(侮る)。その人はあれこれと邪推して、「結局、良い仕事を手に入れられるのはコネのあるヤツだけだ」と思うようになります。しまいには転職まで検討するようになりますが、今の職場よりも良い条件のところは見つかりませんでした。

いろいろ堂々巡りをした挙句、その人は「選ばれなかったのは自分に原因がある」ことを認めるしかなくなりました。そこで、勇気を出して上司に相談し、2人で改善すべき点を確認し合いました。その人が、上司と取り決めたことを実行に移したところ、時を経て、念願のプロデューサーに昇進することができた、ということです。

私たちは、大なり小なり、自分の思うように行かなかった時に、この3つの概念が思わず頭をよぎります。ここでは、よぎること自体を否定するのではなく、「あ、来たな」と一旦受け止め、深呼吸してからしっかり上書き保存していくことから始めると良いでしょう。

過去の成功体験が「足かせとなる」

この3つの戒めを守ることは、成功に不可欠なだけでなく、成功を持続させるためにも必要です。むしろ一度成功した人のほうが、成功体験がある分だけ、過去のやり方に固執するようになり、そこから抜け出すことが難しくなります。

たとえば、平社員の人が頑張って専門知識を磨いた結果、マネジャーに昇格したとしましょう。プレイヤーとマネジャーとでは評価されるポイントは明らかに異なるのですが、それを気にしない多くの新米マネジャーは、相変わらず平社員の時と同じスタンスで仕事をし続けます。なぜなら、今までそれで評価されてきたからです。

新たに加わったマネジャーの仕事が上手く行かなければ行かないほど、これまで評価されたプレイヤーの仕事スタイルを手放せません。そして、評価されるのはマネジャーとしてのマネジメント能力であるため、「できるプライヤーからうだつの上がらない管理職」に成り果ててしまうのです。(管理職をどうわりきるかについて詳しくお知りになりたい方は、ぜひ拙著「わりきりマネジメント」(扶桑社)がお役に立てます。

「3つの戒め」の活用方法とは

いかがでしたでしょうか?「囚われない、侮らない、恨まない」という3つの戒めが、いずれも自分に端を発していることがお分かりいただけたのではないでしょうか。実際、自分の行く手を阻んでいるのは、たいてい自分自身です。

私は、今回の「本日の一言」を、目のつく場所に貼ったり、スマホの待ち受けにしたりする等して、ご自身に落とし込んでいただきたいと思っています。

3つの戒めを確認するタイミングとは、
(1)新たな行動を起こす前
(2)行動しながら、「3つの戒めをクリアできているか?」をチェック
の2つあります。人は忘れやすい生き物ですから、見返すようにしましょう。

万一、行動する前に、少しでも「この3つがクリアできそうもない」と思った時は、しばらくその行動自体を見合わせたほうがいいかもしれません。それくらい、この3つの戒めは大切な教えであり、転ばぬ先の杖になってくれます。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は39万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト


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