労働新聞社Webサイトに2020年に掲載した記事で、2020年上半期にアクセス数が多くよく読まれている人気の記事を再紹介していきます。

2020年02月20日掲載【安全スタッフ】

 感染拡大が不安を呼んでいる新型コロナウイルス。中国に工場や店舗などの事業場があったり、中国と取引関係にある日本企業だけでなく、日本国内で感染が広まる事態に備えて、すでに多くの企業では対策が進められている。今企業にできることは何か、働く労働者個人にできることは何か。株式会社ドクタートラストで日々保健師として企業の相談を受けている原田佑紀子さんに、新型コロナウイルスの概要と予防のポイントを解説して頂いた。

食事前後など手洗い徹底を

 中国湖北省武漢市を中心に拡大が止まらない新型コロナウイルス(2019-nCov)。1月28日には日本政府が新型コロナウイルスによる肺炎を「指定感染症」として閣議決定、2月1日には検疫法の「検疫感染症」に指定する政令を施行しました。

 日本をはじめ各国でも感染者が確認されており、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスのリスクを「高い」と評価。春節により中国在住者が各国に移動したことが拡大の要因と考えられます。

◆新型コロナウイルスとは

 コロナウイルスは発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、人や動物の間で広く感染症を引き起こします。「新型」であることから現時点では特定の治療法がなく、対症療法を行います。また、通常であれば発症者から排出されたウイルスを体内に取り入れた際に感染が成立するものの、新型コロナウイルスは潜伏期間にも発症、つまり「気づかないうちに感染を広げる危険性」があります。WHOは潜伏期間を1〜12.5日としています。

【感染、発症するとみられる症状】

□ 37.5度以上の発熱
□ 咳
□ 息苦しさ
□ 呼吸困難感
□ 下痢・胃腸疾患

 症状がある場合はマスクを着用し、医療機関に連絡、速やかに受診してください。また、海外への渡航歴がある場合は、忘れず伝えましょう。

◆予防方法〜個人編〜

 感染経路は、飛沫感染(咳やくしゃみの飛沫と一緒に放出されたウイルスを口や鼻から吸い込む)と接触感染(ウイルスの付着したものに触れたのち、口や鼻を触る)が考えられています。

【予防方法】

・何よりも手洗い

 不特定多数が触れるドアノブやつり革などには、さまざまなウイルスが存在しています。手に付着したウイルスを体内に取り込むのを防ぐため、帰宅時や食事前後などは石鹸などを使った手洗いを徹底してください。アルコールを含む消毒液での手指消毒も効果的です。

・マスク

 残念ながらマスクにはウイルスを100%カットする効果はありません。一方で、咳やくしゃみによる飛沫を防ぐうえで効果を発揮します。感染拡大予防の咳エチケットとして使用しましょう。

「出勤時間のずらし」も

◆予防方法〜企業編〜

 感染者が潜伏期間に出歩き、ウイルスを運んでしまう可能性があります。気をつけたいのは、観光客の多いエリアにオフィスがある場合です。社員の安全確保のため、会社として策をとるのは有効です。

【取り得る対策】

□ 人混みを避けたルートで通勤
□ うがい手洗いを徹底

【実際に行われている対策】

□ 社内教育や注意喚起
□ 在宅勤務・テレワークで不要な外出を避ける
□ 出勤時間をずらし、ラッシュ時の通勤を回避
□ 外出時のマスク着用をルール化
□ 海外出張の見合わせ
□ 海外赴任者へ注意喚起

◆社内で感染者が発生したら

 企業から保健所への届出は義務付けられていません。しかし発症者の対応で不安があるときはお近くの保健所に相談してください。また、発症者には保健所が行動範囲等を聴取します。保健所から企業へ連絡がいく可能性がありますので、保健所の指示に従ってください。

(※記事は2月14日現在の情報に基づく)

執筆:㈱ドクタートラスト ウェルネスサービス推進課 保健師 原田 佑紀子