今年の夏から北米ツアーに乗り出す元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズがニューヨークで行われたライブ映画『ロジャー・ウォーターズ US + THEM』の上映イベントでトランプ大統領とレジスタンスについて語った。

新たなレジスタンス運動がアメリカを席巻してほしいーー。ロジャー・ウォーターズはそう願っている。

米現地時間2月11日の夜、ニューヨークで行われたライブ映画『ロジャー・ウォーターズ US + THEM』上映後の質疑応答でウォーターズは、ライブを観にきたアメリカ国内外の若い世代のオーディエンスのヒューマニズム(人間主義)の受け入れ方の違いを比較した。司会役を務めていた独メディア大手BMGのジョン・ロフラーが「私も[同作のなかで]世界中の子供たちが、自分は独りじゃないんだ、というメッセージを受け止める様子を見て感動しました」とコメントするとウォーターズは、アメリカ人は政府に対してもっと怒りを表明するべきだと答えた。

「まったくもって理解できない。子供たちにメッセージはちゃんと伝わっているのに、ここアメリカではそうではないようだ」とウォーターズは言った。「もしメッセージが伝わっていたとしたら、ドナルド・トランプなんかが大統領にはならないし、民主党予備選挙でのナンセンスだってあり得ない——ドナルド・トランプに唯一立ち向かえるサンダースを叩きのめそうとするなんて」メディア関係者がほとんどだった質疑応答の参加者は声援を送った。

「私たちが生きているのは、愚か者の地獄だ」とウォーターズは言った。「アメリカ合衆国は愚か者の楽園なんかじゃない。愚か者の地獄だ。この映画は、私にプロパガンダと愛の闘いがいかに偉大であるかを思い出させてくれた。いまはプロパガンダが優勢だ。プロパガンダを発動させている機械のスイッチは、イカれたろくでなし連中が押している。彼らは一様にろくでなしの社会病質者どもだ。まさかと思うかもしれないが、ドナルド・トランプもその下のどこかにいる。寡頭政治という泥水のプールの底でもがいているんだ」

「人生のあらゆることに失敗したトランプという男が、世界の誰かが愛し、大切にするかもしれない全てのものを破壊するような最悪の暴君、大量殺人者になり得た理由は? それは、権力を持っていたからだ」ウォーターズはさらに続ける。「残念ながら、トランプはスイッチに指をのせている。それは事実だ。『Pigs (Three Different Ones)』のパフォーマンスのように、トランプのスイッチが大きくてちゃんと機能するのも事実。そのスイッチは世界中で押され、利益のために世界中で有色人種を殺害しているんだ」

司会者のロフラーがウォーターズの熱意と怒りを称え、メッセージには愛も込められていると指摘すると、元ピンク・フロイドのメンバーは冗談っぽく「新しいライブを観てほしい」と言った。ウォーターズは2020年の夏からThis Is Not A Drillと銘打ったライブで北米を回る予定だ。

さらに、記者会見でウォーターズはピンク・フロイドの大ヒット曲はもう歌いたくないとふざけながら言った。そして『ロジャー・ウォーターズ US + THEM』を観た後、別の意味で歌詞が正しいと思うようになったと言う。「座りながら考えてたんだ。『ちくしょう、もしまた「あなたがここにいてほしい」を歌わないといけないなら、銃で頭をブチ抜いてしまうだろう』ってね」とウォーターズは「おぉ〜」という歓声や笑い声をあげる観客に言った。「でも、実際には歌うだろうね。私はこの曲が大好きだから。私たちは、戦争の脇役ではなく、檻のなかの主役を選んだのだ。私たちはみんなクソみたいな檻で生きる脇役でしかない。この状況は、隷属状態が終わらない限りは逆転しない。私たち全員が『こんな茶番はいい加減にしてくれ!』と言えるまでは……。どういうわけか、しかるべき人たちに対してこれが正しいと説得できた。それをサポートする準備はできているんだ」

ウォーターズはThis Is Not a Drillツアーと今年の3月にテキサス州オースティンで開催される音楽・映画などのインタラクティブイベント、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)カンファレンス&フェスティバルの基調講演でこうしたテーマをさらに追求するだろう。同ディスカッションには、映画監督&活動家のマイケル・ムーアが司会者として登壇する。