家畜伝染病豚コレラ(CSF)の発生確認から1週間がたった。自治体をまたいで感染が拡大し、依然予断を許さない。これ以上被害が拡大するのなら、全頭のワクチン接種もためらうべきではない。 県は14日までに沖縄市とうるま市で豚コレラに感染した養豚場を中心に、半径3キロ圏内の農場を検査した結果、全て陰性だったと報告した。

 11日からは10キロ圏内に拡大した検査も始まった。20日までに10キロ圏内の全ての養豚場で検査を終えることを目指している。感染の封じ込めができるかどうかは畜産業を営む農家はもとより、県民にとっても切実な問題だ。まずは畜産農家の多大な負担に対する完全補償などに最優先で取り組む必要がある。

 直面している課題は、殺処分後の死骸の埋却地の確保だ。うるま市内では埋却まで完了したが、沖縄市内では新たな感染があった場合の容量の確保を含め、埋却地探しが課題となっている。

 離島県である沖縄では大規模な農場は限られている。埋却地が不足する場合の対策として県は死骸を焼却処理して産業廃棄物処分場に埋める代替手段の準備も決めた。ウイルスを封じ込めるため、あらゆる手を尽くすべきだろう。

 沖縄は年々旅客や物流が増加している。これに伴い、防疫上のリスクも高まっている。空港や港湾などでの水際対策は極めて重要だ。

 関東では昨年、豚コレラの感染が地続きで拡大した。この事態を「対岸の火事」と見ていたきらいはなかったか。

 那覇空港では国際線ターミナルビルに消毒マットが設置されていたが、国内線ターミナルビルに敷かれたのは昨年12月末からだった。

 豚コレラは感染から死亡まで1カ月前後とされる。うるま市の農場では12月末に不審死が出た。国内線で消毒マットを設置した時にはウイルスが侵入していたとみられる。

 ワクチンを使うと、国際獣疫事務局が認める「清浄国」から外れ、輸出禁止の長期化といった支障が出る。それ以上に、感染の拡大に歯止めをかけることが先決だろう。本土ではワクチン接種の決断の遅さに農家の不満が噴出した。

 県内では1986年にも豚コレラが発生しているが、2006年までワクチン接種をしている。国はアグーを隔離し希少種を保全する考えを示した。固有種保存のために万全を期したい。

 惑わされてはならないのは風評被害だ。豚コレラは人にはうつらない。感染した豚の肉を食べても影響はない。正しい知識の普及に県は力を入れてほしい。

 うるま市と沖縄市の農場では7千頭を超える豚が14日までに殺処分された。感染が確認された農場は全ての豚の殺処分が義務付けられているためだ。胸が痛む光景を終わりにするためにも、ウイルス封じ込めに全力を挙げ、水際の防疫をさらに強化したい。