日本唯一の固有種「アグー」を豚熱(CSF)から守るのは至上命令だ。取り組みを急がなければならない。 有識者や畜産関係団体などで構成する「県豚熱(CSF)防疫対策関係者会議」が、県内で飼育するアグー純粋豚1108頭のうち雄雌各25頭の計50頭を、清浄が確認されている県内離島に隔離する方針を確認した。

 アグー純粋豚が感染によって全滅する最悪の事態を避けるためだ。

 県は豚熱の感染拡大を防ぐため沖縄本島の全ての豚を対象に、早ければ2月中旬からワクチンの接種を開始する。その前に隔離することで、ブランドイメージの維持を図る狙いもある。

 いずれにしても、アグーの「種の保存」を図るため、できるだけ速やかにリスク分散の措置を取るべきだ。

 隔離は2段階方式になるという。隔離施設がある離島に一時的に運び、その間に、他の離島に新たな飼育施設を整備して移す。1次移動先は久米島が想定されている。

 防疫対策関係者会議では、避難させるのが50頭では少ないという意見も出たという。もっともな指摘だ。数を増やして複数の離島に隔離する方法も検討した方がいい。

 うるま市の養豚場で豚熱の発生が確認されたのは1月8日。1986年10月以来、33年3カ月ぶりだった。殺処分や発生養豚場の消毒といった防疫作業がいったん完了した後も、今月2日に5例目の感染が確認されている。

 これまでに、うるま、沖縄両市にある8カ所の養豚場で、1万頭を超える豚が殺処分された。

 近く開始されるワクチン接種の対象は21万2498頭と見込まれている。まずは豚熱が発生していない本島北部と南部で接種し、豚熱が発生した中部の地域は、終息の確認後に接種する計画だ。隔離するアグーにはワクチンを接種しない。

 アグーは戦前、県内各地で飼養されていた。だが、戦火による減少に加え、西洋種との交配が進み、一時は絶滅の危機にひんした。関係者の粘り強い努力で復活させた経緯がある。

 各地の養豚場で飼養されているアグー純粋豚は貴重な農業資源だ。豚熱の猛威を避けるため、あらゆる手だてを講じなければならない。

 豚熱が発生していない離島に、繁殖用のアグーを隔離することは有効な方策だ。

 隔離に際しては、近親交配が進まないように注意する必要がある。近親交配の度合いを表す「近交係数」が高いと繁殖能力が下がり、奇形が生まれる場合もあるからだ。

 2次隔離先となる離島は、人や家畜の出入りが少なくウイルス感染のリスクが低い場所を選ぶことが重要になる。

 速やかに候補地を決定し、セキュリティーレベルの高い飼養・隔離施設を整備することが急務だ。