3度目の高校入試に挑む仲村伊織さんを巡り、県教育委員会が合格の可能性に言及したことは、現行の入試制度で誰もが合格の可能性があるという一般論を述べたにすぎない。しかし、これまで県教委は知的障がい者の受け入れを巡り「制度設計に時間がかかる」と述べるなど、本年度の不合格を示唆するような説明をしてきたため、一般論だとしても仲村さん本人や家族に与えた安心感は大きい。

 県教委は「学びを保障できない」とする方針を撤回し、入学後は全ての生徒の学びを保障することを確約した。また、定員確保の努力を求める通知を各高校の校長宛てに発出する予定で、受け入れを拒否する考え方の払拭(ふっしょく)は進む見込みだ。

 当面の焦点は、必要な合理的配慮が入試でなされるか、試験結果を受けて志望校の校長がどのような基準で合否を判断するのかに移る。

 高校入試に阻まれているのは仲村さんだけではない。中卒者、高校中退者などの生活は実態がつかみにくく、子どもの貧困解消が進む昨今においても、支援の空白と指摘される。

 仲村さんの高校入試挑戦は、定員内不合格に表れる「適格者主義」の弊害も浮き彫りにしており、より深い議論が求められている。

 (稲福政俊)