第92回アカデミー賞の作品賞など4部門に韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」が輝いた。家族4人全員失業中の貧しい一家が、裕福な家庭に巧みに“寄生”していく物語だ。高い娯楽性を持ちながら格差社会を痛烈に描き出す▼貧しい一家の父親は運転手として裕福な家庭に雇われる。雇い主は運転手の仕事ぶりを評価するが、体臭は地下鉄の乗客のようなにおいがするから苦手と言う。「分からない」と首をかしげるのは雇い主の妻。地下鉄に乗った経験がないからだ

▼経済的な格差が拡大すると、社会の階層化や分断化が進む。所得に応じて住む地域や学校、職場が異なる傾向があり、格差が見えにくくなるといわれる。格差の拡大は貧困問題につながりやすい

▼沖縄は子どもの貧困率が29・9%(2015年度)で全国の2倍近い。県の調査では、家計の貧しさ故に多くの高校生が進学を断念している実態が浮き彫りになった

▼貧困が原因で子どもの将来が狭められないよう連鎖を断ち切らなければならない。「パラサイト」では貧しい一家の息子が将来を悲観する姿も印象的だ。沖縄にも同じ境遇の人がいる

▼観光需要などを追い風に、県内の平均有効求人倍率は1・19倍と6年連続で復帰後最高値を更新している。好調なうちに所得を上げて就労環境を整えたい。格差の拡大を食い止めることは急務だ。