主人公クレールは、不幸の気配までも己の色気に変えてしまう、根っからの美人で、頭脳明晰(めいせき)、50代バツイチの女性。ある日、20歳ほど年下の恋人に、ひどい捨てられ方をする。こんな時、転んでもタダでは起きないのが美人兼恋愛熟練者。言い換えれば、「この私を捨てておいて、タダで済むと思ってるの」って話。SNS上で24歳の乙女になりすまし、自分を捨てた男の近況を探ろうと、彼の友人に近づく。

 50代で離婚して、初めて「孤独」を知ったのだろう。男性に雑に扱われた経験も無かったのかもしれない。つらかろう。心の穴の埋め方が異様だよクレール。

 SNS上でうそを重ね、彼の友人とのやりとりは、次第に濃密になっていく。「会いたい」と言われる。そりゃそうだ。会ってしまったらジ・エンド。会わなくてもジ・エンド。終わってしまえばまた孤独。孤独は嫌。さぁ、どうする? クレール!これから先はカオス。孤独を知っている人間には信じられない展開が待っている。ホラーより怖い。ジュリエット・ビノシュにしかできない役。

 (桜坂劇場・下地久美子)