SDGs(持続可能な開発目標)ゴール10は「人や国の不平等をなくそう」。不平等は国と国の間にも、一つの国の中にもある。沖縄が直面する大きな不平等には75年前から続く米軍基地問題がある。ゴール10の達成には今なお多くの県民が苦しむ基地問題の解決が不可欠だが、道のりは長い。また、外国人など言語や文化の違いによって不自由を強いられている人たちは県内にもいる。「同じ地域の住民として、少し気に掛けてもらえるだけでも安心感が全然違う」との声に応えることは、誰でもすぐにできることだ。現状を報告しできることを考える。
基地負担減求める沖縄集中する米軍施設
 沖縄には日本にある米軍専用施設の70.3%(今年1月現在)が集中している。他県の状況を見ると、2位の青森県でも9.02%しかない。沖縄県への基地の集中は、騒音や汚染、事件・事故など基地被害の集中でもある。県民は基地と隣り合わせの生活を強いられてきた。沖縄と県外で負担が偏る不平等な現状がある。
 米軍基地造成は沖縄戦の最中から始まった。米軍は日本軍が使っていた飛行場を拡張したほか、住民が住んでいた土地を奪って基地を造った。
 日本は戦争に負けて占領された後に独立したが、沖縄は切り離されて米国の統治下に27年間置かれた。その間、日本本土では反米軍基地運動があり、沖縄に基地が移ってきた経緯がある。日本への復帰後も県外の基地返還が進むペースと比べ、沖縄の基地負担軽減は進んでいない。
 沖縄に偏った基地負担にもかかわらず、日本政府は普天間飛行場を名護市辺野古に移設しようとしている。軍港機能が加わるなど、普天間を上回る機能のため「新基地」だとして県内で反発が強い。県民投票や主要選挙の結果で県内移設反対の民意が示されても、政府は新基地建設に固執している。
 県が設置した有識者会議「万国津梁(しんりょう)会議」は今年3月、在沖米軍基地を県外・国外へ分散させることで段階的に整理縮小させるべきだと玉城デニー知事に提言した。辺野古新基地建設は技術的にも財政的にも困難だと指摘している。
 玉城知事はこの提言を踏まえ、政府に改めて県との対話を求める方針だ。会議の提言は、米軍普天間飛行場の危険性除去には「辺野古移設が唯一」とする政府の主張を突き崩す新たな「沖縄の論理」となる
(明真南斗)

近くの外国人を手助けコロナ貸し付け多言語発信
 観光業を直撃した新型コロナウイルス感染症は、留学生のアルバイト収入も激減させた。国は緊急貸し付け事業の条件を緩和して留学生も利用できるようにしたが、日本語で記入できなければ申請できない。窓口の那覇市社会福祉協議会では、英語のほかネパール語の説明文書を用意して留学生の申請を助けている。
 那覇市社協では5月中旬から外国人からの相談が増えた。多い日には1日80人にもなり、その大半はネパール人だった。申請の“お役所文書”は母語が日本語の人でも読みづらく、外国人にはさらに難解だ。日本語しかなかった書類のネパール語への翻訳を始めた。
 ネパール出身で沖縄ネパール友好協会幹事長のオジャ・ラックスマンさん(34)は市社協の翻訳の手伝いもした。「日本語を話せるようになっても読み書きがまだできない人もいる」と話し、妊婦健診や子どもの学校で配られる文書が読めず、本来なら受けられるサービスを十分に受けられないこともあるという。
 家族と離れ、制度も文化も異なる外国で、どのような支援制度があるか分からない不安は大きい。「仲間でも助け合うが、多言語での発信があればいい」と話した。
 収入が減った留学生の支援へ、ネパール料理で寄付金を集めた那覇市の翁長巳酉さんは「困りごとがあっても彼らは声を上げにくい。日本人が近くの外国人を気に掛け、手助けしよう」と呼び掛けた。
(黒田華)

県外米軍基地は6割返還
 全国の米軍専用施設の面積の約70.3%を占める県内の米軍基地(今年1月現在)。沖縄戦の後、米軍は住民を収容所に隔離する間に、住民の土地に基地を造り、米施政権下では「銃剣とブルドーザー」でさらに土地を取り上げて拡大した。
 1972年の復帰後、県外では反対運動を受けて米軍基地の6割の返還が進んだが、「基地なき島」を切望した県内では2割にとどまった。その結果が国土面積の0.6%しかない沖縄県に米軍専用施設の7割が集中する現状だ。この不平等な基地負担が、辺野古新基地建設に反対する民意につながっている。

SDGsとは…
さまざまな課題、みんなの力で解決すること 気候変動、貧困に不平等。「このままでは地球が危ない」という危機感から、世界が直面しているさまざまな課題を、世界中のみんなの力で解決していこうと2015年、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が決められた。世界中が2030年の目標達成へ取り組んでいく。
 「持続可能な開発」とは、資源を使い尽くしたり環境を破壊したりせず、今の生活をよりよい状態にしていくこと。他者を思いやり、環境を大切にする取り組みだ。たくさんある課題を「貧困」「教育」「安全な水」など17に整理し、それぞれ目標を立てている。
 大切なテーマは「誰一人取り残さない」。誰かを無視したり犠牲にしたりすることなく、どの国・地域の人も、子どももお年寄りも、どんな性の人も、全ての人が大切にされるよう世界を変革しようとしている。
 やるのは新しいことだけではない。例えば、スーパーのレジ袋を断ること。話し合って地域のことを決めること。これまでも大切にしてきたことがたくさんある。視線を未来に向け、日常を見直すことがSDGs達成への第一歩になる。