本紙が戦争遺跡について沖縄県内41市町村を対象に実施したアンケートでは、人員不足などの行政課題や、戦後75年が経過する中での調査の難しさが浮き彫りになる一方で、最新技術を利用した継承のアイデアなども挙がった。戦跡の文化財指定や保護について財政・制度面での国や県の支援を求める声や、自治体の枠組みを超えた協力を訴える声もあった。

 戦争遺跡の保存については「体験者の証言を聞く(読む)ことと共に、戦争を拒否する大きな力になる」(読谷村)などと重要性を指摘する意見が寄せられた。一方、人員不足などから戦跡保存と証言収集などとの両立が課題となっている現状も見えた。大宜味村は「人口が少ない市町村は(文化財行政を)職員1〜2人で当たっているケースが多い」とし、「遺跡の保存も大切だが、戦争体験を証言できる方がかなり少なくなっている。直近でやるべきことは証言を多く残すことではないか」とした。

 壕などの崩落が進み、調査や活用が困難になっている状況は複数の市町村で確認された。対策について、宮古島市は写真や図だけでなく「動画資料としても記録保存を行っている」と説明。豊見城市は「壕については安全面を考慮すると、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などデジタル技術を使用した公開活用の在り方も検討する必要がある」とした。

 市町村の枠を超えた連携の必要性を訴える声もあった。糸満市は「戦争遺跡の調査・保存活用などについて全県、国の文化財関係者などが幅広く議論する場を設けてほしい」と要望した。宜野座村は「県や市町村が単独で収集・調査してきた体験談や資料の情報を一元的に整理・分析し、共有できるシステムの構築が必要」と強調した。

 国や県への要望としては「戦跡の指定で明確な基準の設定」(八重瀬町)、「戦争遺跡の保存・保護・活用に関する財政支援(補助メニューの拡充)」(豊見城市)などがあった。