犯罪被害者に寄り添い、声をかけるよう求めた山口由美子さん=佐賀市の佐賀女子短大

 2000年に当時17歳の少年が起こした西鉄高速バス乗っ取り事件で重傷を負った佐賀市の山口由美子さん(74)が16日、同市の佐賀女子短大で講演した。山口さんは周囲からの言葉によって事件の苦しみが和らいだと話し、「被害に遭った人に寄り添い、声をかけてほしい」と呼びかけた。

 事件では山口さんの友人が亡くなった。友人の息子からは「山口さんだけでも生きていてよかった」、精神科医からは「つらかったでしょう」と声をかけられ、言葉に救われたという。「頑張れ、と言われても頑張りようがなかった。その時に必要な言葉がある」と振り返った。

 退院後には、たわいのない会話をしてくれた友人の存在が支えになったとし、「被害者によって事件の受け取り方は異なるが、それでも寄り添いながら被害者の話に耳を傾けて」と強調した。

 犯罪被害者への理解を深めてもらおうと県が主催し、こども未来学科と地域みらい学科の1年生約150人が聴講した。こども未来学科の保井夢咲さん(19)は「日頃の関わりの中でも相手のことを考え、寄り添うことを意識したい」と話した。(丸山美陽)