機心

 農夫が井戸から水をくんで畑にまいている。井戸の底まで下りて、かめに水を入れ、抱きかかえて上がってくる力仕事を繰り返していた◆通りかかった人が「はねつるべという水を揚げる便利な機械があるからお使いなさい」と勧めると、農夫は首を横に振った。「機械を使ったら必ず機械に頼る仕事が増える。機械に頼る仕事が増えると、機械に頼る心が生まれる」。中国の古典『荘子』に見える逸話である◆確かに今はパソコン一つで面倒な書類もちゃちゃっと仕上がるし、メールでそれを瞬時に送り届けることもできる。便利にはなったが、仕事が楽になったかといえば、事務作業に手間取らなくなった分、別の業務が増えてかえって忙しくなった、という皮肉な世の中である◆とりわけ学校の先生たちは深刻らしい。1週間の勤務時間が小学校で54時間、中学校で56時間と世界一の忙しさ。学校行事が多い春や秋の勤務時間を延ばす代わりに、夏休みにまとめて休暇を取る「変形労働時間制」を導入する法改正が今国会で審議されている◆教育の場に工場の生産ラインみたいな働き方を持ち込もうというのも「機械に頼る心」だろうか。増え続ける業務をまず何とかするのが先のように思える。きょうは勤労感謝の日。効率や生産性にばかり目を奪われていると、感謝もつい忘れがちになる。(桑)


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