「腊葉(植物標本帳)」=国重要文化財・武雄鍋島家資料

 今日はバレンタインデー。街中は甘い匂いであふれていますね。実は、江戸時代後期の武雄領主・鍋島茂義は、甘いもの好きだということを知っていましたか。

 例えば、茂義の買い物帳である「長崎方控」(国重要文化財・武雄鍋島家資料)を読んでいくと、茂義が甘いものを多く注文していることが分かります。「矢掛(やかげ)ゆべし」や「銘(名・明)月餅」、「朝鮮飴」、「鶴ノ子餅」、「五三焼(カステイラ)」、「センペイ満畳(まんじゅう:原文まま)」など、さまざまな甘味が登場します。私も原稿を書きながらお腹がすいてきました。

 また、「長崎方控」によると「椰子(やし)」を注文・入手しており、鍋島茂義のお手元本である「腊葉(植物標本帳)」でも紹介されています。「ダート(デ)ルボーム」とはナツメヤシ(Dadel boom=オランダ語)のことで、「フウニキス。タリチリヘラ」はナツメヤシの学名(Phoenix dactylifera)です。嘉永7(1854)年に書かれた長崎の本草学者である野田源三郎による鑑定書も挟み込まれており、果肉について「味太タ快美ナリ砂糖ノ如シ」と説明しています。砂糖のように甘いというナツメヤシに、茂義も興味津々だったのでしょう。

 対外危機意識の中で西洋の軍事学を中心に先進的な学問を積極的に推し進めた茂義も、甘いものに目がなかったことを思うと、どことなく親近感を覚えるのではないでしょうか。