薬を何種類も飲んでいる人がいます。高齢になれば特にです。ご家族の方から、こんなに薬が多くてよいのかと聞かれることがありますが、こちらとしても何とかして薬を減らしたいと思っています。でも「薬を減らしたら具合が悪くなった」と責められることもないわけではないので、なかなか減らしづらいのが実情です。たくさん飲んでもらうようになったのには、それなりの理由がありますので、やめるのは簡単ではありません。

 薬には、(1)症状がある時だけ飲めばよいお薬と、(2)症状があってもなくても飲み続けた方がよいお薬があります。(1)は症状がなければやめても命には関わりません。(2)は症状がなくても飲み続けることにより脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気にかかることを減らす可能性があります。医師としては、まず(1)から減らしたいと思うわけです。しかし、患者さんからしたらどうでしょう。何か自覚症状があったから開始したお薬ですからやめたくないのは(1)ですよね。やめると、また以前の症状が出現すると不安に思っておられるようです。

 薬をたくさん服用していることを、最近は「ポリファーマシー」と呼びます。たくさん飲むことで副作用が出たり、薬と薬の相互の働きで効き目に変化が出たりする可能性があります。高齢者では薬を減らして元気になった、という人もおられるのは事実です。薬を減らすには、ご本人が薬を減らしたいと思うことが前提となります。相談してもらうと、どれからやめるか一緒に考えていくことができます。万が一、薬をやめてまた具合が悪くなったのであれば、それを医師に伝えて、また処方してもらえば良いのです。自分で勝手に減らすのではなく、医師と話し合いを重ね、不安を取り除きながら減らしていきましょう。(佐賀大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター専任副センター長 江村正)