『森光子 百歳の放浪記』

 「NHKスペシャル」の元エグゼクティブプロデューサー川良浩和さん(72)=太良町出身、東京都=が、2012年に亡くなった国民的女優の森光子さん(享年92)の生涯をたどる『森光子 百歳の放浪記』(中公新書クラレ)を出版した。森さんの生誕100年を記念し、上演回数2017回を記録した「放浪記」の舞台裏や、親交があった関係者のインタビューで森さんの素顔に迫っている。

 報道ドキュメンタリーを手がけてきた川良さんは、2005年にNHKスペシャル「森光子『放浪記』大いなる旅路」を制作した。以来、森さんを追い続け、放浪記の2000回公演の折りに特別番組も放送している。

 森さんの当たり役となった「放浪記」は、林芙美子原作の舞台で、でんぐり返しの演出とともに、たくましく生きる主人公の姿が観客の胸を打った。森さんは41歳から89歳まで足かけ48年の間、林芙美子役を演じ続けた。

 本書では親交があった浜木綿子さん、黒柳徹子さん、東山紀之さんらの証言を集め、エンターテインメントに生涯をささげた森さんの歩みと人柄を浮き彫りにしている。

 川良さんは「日本社会が厳しい時代を迎えると、放浪記の上演回数が増えていた。2018回目の上演は幻に終わったが、この本を読んで『がんばろう』と思ってもらえれば、きっと森さんも喜んでくれると思う」と話している。

 川良さんは鹿島高−早稲田大第一文学部を卒業後、NHK入局。日本新聞協会賞、文化庁芸術祭賞、放送文化基金賞など受賞多数。

 

 ▼『森光子 百歳の放浪記』は新書判256ページ。税別900円。