「孔門師弟成績図絵」より、愛弟子の死を嘆き悲しむ孔子

 孔子の生涯を描いた図絵を「聖蹟図」といいます。多久市郷土資料館所蔵の「孔門師弟成績図絵」(乾・坤二巻)は、絵巻に仕立てられた聖蹟図で、乾の巻に孔子の生涯、坤の巻には門弟たちの物語が合計53図収められています。

 当初はばらばらの状態だったと考えられ、絵巻の冒頭には、佐賀藩鍋島家の庫裡にあったものが、福岡の筆商である復古堂の河原田平助に渡り、依頼を受けた国学者海妻甘蔵が1900(明治33)年に絵巻の形にまとめたと記されています。

 孔子は身長が2メートルほどもあったといわれていますが、本作品では大男として描かず、緑色の衣服で表し、人物の表情や衣服の模様などが繊細に表現されています。写真は、まな弟子であった子路の死を嘆き悲しむ孔子の姿です。頰づえをつき、眉を寄せ、口をきゅっと結んで、おえつをこらえているかのようです。

 本作品は孔子の誕生から青年期の図が欠けており、また53の各図の横幅がまちまちであることから、散逸したり、切り取られたものがあると考えられています。

 このような肉筆で描かれ、彩色が施された聖蹟図は類例が非常に少なく、大変貴重なものです。(志佐喜栄=多久市郷土資料館)