児童が献立を考え、作った弁当(学校提供)

 唐津市肥前町の入野小が「弁当の日」を始めて2年がたった。年2回、給食に代わって児童が親の手を借りずに弁当を作る日で、本年度は参観日に保護者と一緒に食べ、手紙を交わした。「ふたを開けたら、仕事で疲れている私を思って一生懸命作ってくれたのがすぐ分かりました」と5年生の母親は書いた。

 「弁当の日」は2001年、香川県の小学校校長だった竹下和男さん(70)が始めた。「朝、子どもが自宅の台所に立つこと」が条件で、取り組みは全国に広がり、2千校以上が実践しているという。

 多貝利彦校長(54)は教頭だった3年前、竹下さんの提唱を知り、それまでの「おにぎりの日」を「弁当の日」にグレードアップ。低学年や調理の経験がない児童は家族が作ってくれたおかずを詰めたり、おにぎりとおかず一品にしたり、別コースを設けて始めた。

 3人きょうだいは役割を分担し、料理が得意な3年生の次男はハンバーグを作り、5年生の長男はウインナーを焼いた。1年生の妹はおにぎりを作り、兄たちが作ったおかずを詰めた。「おにぎりも大きさが違ったけど、一生懸命さが伝わった」と多貝校長。

 料理に関心を持つ児童が増え、図書館やインターネットで食材や献立を考えるようになった。「弁当の日」は6月と11月で、6月は揚げ物が多かったが、11月は野菜類が増え、「弁当の色が茶色から緑に変わった」(多貝校長)と意識の変化を感じ取る。

 本年度から11月は参観日に一緒に食べることにし、5年生担任の小倉美佐枝教諭(33)の提案で手紙をやりとりした。女子児童は「台所に立って弁当を作っていると母と同じ立場になった感じで、働きづめの母にありがたい気持ちがした」と書き、母親は「早起きして世界一の弁当を作ってくれてありがとう」と返した。

 新型コロナウイルス感染防止で学校が休校になり、子どもたちの食を案じる声があったが、「みんな自分で料理していたみたい」と小倉教諭。多貝校長は「食が親と子、学校と家庭をつなげる歯車となり、回り出した」と意義と成果を語った。