夏、冬に備えて食糧集めに励むアリ。「まだ夏なのになぜ働くの」と馬鹿にし、遊んで暮らすキリギリス。冬、食糧がなく困り果てたキリギリスはアリの家を訪ね、食べ物を分けてもらう。アリに助けられたキリギリスは心を入れ替え、まじめに働くことを誓う。イソップ物語の「アリとキリギリス」は「遊んで暮らせるほど社会は甘くない」ということを説く◆しかしコロナ禍の今だったら、心を入れ替えたキリギリスも職に就けるか分からない。働き者のアリも仕事の中身によっては「休みなさい」と言われ、休まないと名指しで怒られる◆コロナは良くも悪くも「働くこと」の意味を私たちに問いかける。拡大再生産へ時間に追われるように仕事をこなすことが当たり前と思ってきたが…◆きょう5月1日は労働者の祭典「メーデー」。日本では1920年、第1回メーデー集会が東京で開かれた◆1年前、NHKの朝ドラ「なつぞら」で、おじいちゃん役の草刈正雄さんが「他人の助けを最初から期待してはいけない。まじめに働いていれば、報われる。誰かが助けてくれる」という意味のことを主人公に語っていた。働き方改革が進んでも、これは不変の価値と思いたい。雇用が揺らぎ、集会も中止となった100年目のメーデーに「働くこと、働けること」のありがたさをかみしめる。(義)