80歳を過ぎても元気で高座やテレビに出演した落語家の春風亭柳昇さんは早足だった。「お高齢(とし)なんだから、もっとゆっくり歩いたら」と周囲に注意されても、気持ちを高める無料の健康法だョ、とどこ吹く風◆ただ「塩分の取りすぎはよくない」という忠告には素直に従い、好物の刺し身もしょうゆを控えてみた。ところが、しばらくすると胸やけで苦しくてしょうがない。以前の「刺し身にしょうゆ」に戻してみると、胸やけはぴたりと治まった。長年の生活習慣をむやみにいじると体にさわる。そんな体験から生まれた新作格言が「病(やまい)は極端から」◆新型コロナ対策で「新しい生活様式」が提唱されている。「会話は可能な限り真正面を避ける」「食事は対面ではなく横並びを」「会議や名刺交換はオンラインで」…。政府の専門家会議が示した実践例はごもっともだが、文言通りの世の中はどこか寒々しい◆中国では医療用の高性能マスクを着けて体育をした中学生が、呼吸困難で相次いで亡くなったという。未知のウイルスを恐れるあまり、過剰な防御が招く悲劇もある◆長い間休んでいた県の施設もきのうからほぼ再開し、日常が戻りつつある。「新しい生活様式」を地域になじませるには、暮らしを楽しむ柔軟な思考と工夫が欠かせない。何につけ「極端」は体によくないものである。(桑)