気まぐれでこの欄に詩歌を切り貼りするものだから、勉強不足を見かねて短歌や俳句の同人誌を送ってくださる方がいる◆結社の高齢化が進むせいか、発行の苦労がにじむ編集後記もある。加えて近ごろは新型コロナ対策で集まりが開けない。感動をともにして記録する「座の文芸」が、このままでは成りたたなくなる…。小さな冊子に山と詰まった悩みは、いま地域社会が直面する試練に重なって見える◆人が集まることは、どんなに楽しいいとなみだったか。国内で3〜5月、新型コロナで自粛になったイベントの経済損失は3兆円にものぼる、と日本政策投資銀行が試算している。対象は大規模な催事やスポーツイベントなど1万5千件余り。地域の中に目をこらせば、損失はさらに膨らむだろう。金銭で測れないものも含めて◆担い手不足にあえぐ地域の伝統行事は「一度中止になれば、復活させるのが難しい」という声も聞く。祭りにしろ、文化にしろ、スポーツにしろ、「集まる」風景の中で人はつくられる。あらためてその意義を見つめ直したい◆詩人の長田弘さんに「わたし(たち)にとって大切なもの」という詩がある。〈なくてはならないもの。/何でもないもの。なにげないもの。/ささやかなもの。なくしたくないもの。〉…「集まる」ことも、ありふれた日常になるといい。(桑)