日峯社下窯跡の調査で初めて確認された初期鍋島の高台部分の文様(左)と底部まで釉薬がかかった青磁香炉

 伊万里市教育委員会は16日、江戸時代に鍋島焼を焼いた日峯社下(にっぽうしゃした)窯跡の2019年度の発掘調査結果を発表した。将軍家などに贈る鍋島焼の初期の陶片約50点が出土し、これまでの研究では知られていない文様を確認した。

 日峯社下窯は大川内山の国史跡「大川内鍋島窯跡」にある登り窯で、1650年代後半〜60年代に築かれたとされる。全長52メートルに15の焼成室が並び、19年度は第5、第6室横の通路と物原(ものはら=失敗品の廃棄場所)を中心に調べた。

 物原を広さ6平方メートル、深さ1・5メートルにわたって掘ったところ、鍋島焼の陶片約50点が出土した。鍋島焼は技術やデザインが流出しないように陶片は細かく砕かれ、出土した1点の高台部分の破片には、専門家の研究では把握されていない文様が描かれていた。

 また、底の部分まで釉薬(ゆうやく)がかかった青磁香炉が初めて見つかり、作り方の特徴から有田の陶工が関係したことがうかがえるという。

 発掘調査は19年度でいったん区切りを付け、本年度は8次にわたる調査の成果をまとめる。市生涯学習課の船井向洋(こうよう)副課長(58)は「調査結果を整理し、窯の構造や鍋島焼の成立過程を探りたい」と話している。