赤れんがの喫茶店「らんばん」 40年の歴史に幕

 佐賀市駅前中央の喫茶店「らんばん」が30日に閉店する。1977年から町と人を見守ってきた赤れんが造りのコーヒー店が、40年の歴史に幕を下ろす。

 カウンターの向こうには、80セット以上のコーヒーカップがずらりと並ぶ。マイセンやアラビアなど世界の陶器ブランド、ニュージーランドのアンティーク、柿右衛門や今右衛門など佐賀ゆかりの品々もそろい、客は好きなカップでコーヒーを楽しむことができる。

 「今は『やりきった』という思いが強い」と店主の久冨泰子さん(71)。全国の喫茶店を巡って研究を重ね、自身で店の設計図を描いた。開店当時は日の光を受けて輝いていた屋根の銅板は今、月日を経て緑青(ろくしょう)をまとっている。

 以前は長い行列ができた店内の「テレフォンボックス」は今も“現役”だが、携帯電話の普及で利用者はほとんどおらず、静かにたたずむ。気品漂うボックス席はお見合いに使われることもあり、当時のカップルにはもう孫がいるという。

 30年以上店に通う佐賀市の伊藤美津子さんは「1人で来てもくつろげる、この店は私の青春」と話す。「勤め始めた若い頃、会社の人ともここへ来ていた。カップを眺めていると、当時を思い出す」と、並んだカップを写真に収めた。

 久冨さんは「大好きな店で大好きなお客様とコーヒーカップに囲まれて、幸せな人生だった」と振り返り、「まだ実感は湧かない。明日から店に来なくていいと思った時に、どんな気持ちになるだろう」と笑顔を見せる。店は30日午後7時まで、いつも通りにそこにある。問い合わせは、電話0952(31)4365。

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