高齢者など体に不自由がある人に対して、あらゆる手助けをおこなう行為を「介助」と呼びます。ちょっとした手伝いなら簡単、誰にでもできると考えがちですが、体力や全身の機能が衰えた人に対する介助には常に危険がともないます。今回は、介助の基本的な動作や、よくある「介護」との違いについて解説します。

日常生活の中で生じる「介助」について

バリアフリーに関する法律が強化されるようになってから、電車・バスの車内や商業施設の建物内など、日常生活の中で「介助」という言葉を目にする機会が増えてきました。当たり前のように使われるフレーズかもしれませんが、「介助」にはどのような意味があるのでしょうか?

「介助」とは、高齢や病気、ケガなどにより日常生活を送ることが困難になった人に対し、何らかの手助けをおこなう行為を指します。病院や介護施設では、看護師や介護士などに手助けされながら生活している人が大勢いますが、街中で困った人に救いの手を差し伸べる行為も"介助"にあたります。見知らぬ人に対して、手を引いて横断歩道を一緒に渡ったり、重い荷物を代わりに運んであげたりする行為も立派な介助なのです。

介助の種類を覚えよう

次に日常生活の中で必要となる基本的な身体介助の種類について説明します。

寝返りと起床の介助
寝返りは、通常は無意識にできるものですが、重度の寝たきりや脳梗塞などにより片まひ(左右どちらかの半身に不自由がある)の後遺症がある高齢者の場合、この限りではありません。正しく寝返り介助がおこなえないと褥瘡(床ずれ)の原因になるため注意が必要です。起床については転落事故にもつながるため、介助する家族は基本動作は覚えておく必要があります。

起立・着席の介助
体を密接する介助者も含めて体の重心がどこにあるのかを理解すると比較的スムーズにおこなえます。着席についても、腰に負担をかけることなくイスに深く腰かけるよう配慮が必要です。その後の身体介助につなげるためにも、安定した座位を保つことは必要不可欠です。

歩行の介助
被介助者の歩くペースに合わせることが重要です。常に転倒の危険がつきまとうため介助者は気が抜けません。片まひの場合、介助者は患側(まひがある方の半身)に立つのが基本です。第一歩を踏み出す際も、事前に声がけしてお互い息を合わせるようにしましょう。階段の昇降の際は、健側(まひがない方の半身)の手で手すりをつかんでもらい、介助者は患側の斜め前方に立ち、万が一の転倒の際に備えます。

食事の介助
食べることを楽しみにしている高齢者も多く、咀嚼(噛む)や嚥下(飲み込む)は体の筋力や機能を正常に保つことにもつながります。介助が必要な場合、介助者は被介助者の真横に並び、食べるペースを伺いながら、のどに詰まらないようスプーンに適量をすくって提供します。調理の時点で食材を適切な大きさに切り刻んでおくとよいでしょう。

入浴の介助
浴室は濡れた床で滑りやすく、浴槽で溺れる危険性もあるため、基本的に付きっきりで介助します。体を洗う際も、固めのタオルで強く擦れば肌を痛めることもあります。また、ヒートショック防止のため、脱衣所や浴室内も極力外の温度に合わせるようにしてください。入浴時間の数分前に、浴槽のふたを開けて浴室内を暖めておくとよいでしょう。

着替えの介助
毎日の着替えは体を清潔に保つだけでなく、ちょっとした気分の転換にもなります。またボタンの付け外しなどで指先も使うため、リハビリや脳の活性化にもつながります。イスに座った状態で着替えた場合、ちょっとした動作でバランスを崩す可能性もあります。簡単に着替えができるようマジックテープで留めるタイプの衣服もありますが、テープの部分が肌に擦れるとチクチクと痛むため、肌と触れずきちんと接着できているか確認するようにしてください。

排せつの介助
人間の羞恥心にもっとも深く関係する介助ゆえ、介助者もナーバスになります。自力で歩行できる場合は、歩行介助、起立・着席介助の基本を応用しながら便座に座ってもらいます。安全に用を足せるよう、トイレに手すりが必要です。また、排便のタイミングをつかんでおくとスムーズに誘導できるため、トイレでの失敗も少なくなります。寝たきりでおむつを使用している場合は、おむつの着脱と清拭を素早く済ませます。ただし、羞恥心にかかわるからといって、清拭を雑に済ませてはなりません。感染症防止のためにも性器や肛門とその周囲を清潔に保つことは大切なことなのです。