私たちの体を蝕むさまざまな病気。医学が発達した現代、薬や高度な医療技術によって、今まで治療困難とされてきた病気がいくつも改善されるようになってきました。しかし、加齢による体の衰えとともに、要介護状態を引き起こす、治療困難な病気がまだたくさん存在するのも事実です。

手足の震えなどが出る「パーキンソン病」も、高い確率で要介護状態につながる病気のひとつ。もし家族に体の拘縮(こうしゅく/関節を動かしにくくなった状態)や歩行困難、体が小刻みに揺れるといった症状が見られるようなら、それは病気の予兆を知らせるサインかもしれません。そしてこのパーキンソン病、実は認知症との深い関係性があるのです。

今回の記事では、パーキンソン病とはどんな病気なのかに加え、パーキンソン病から派生する認知症について解説していきます。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、脳の異常のために身体に障害があらわれる病気です。手足の震えに代表されるパーキンソン病の症状には、主に以下のような症状があります。

▼1. 無動(むどう)
動きがすばやくできなくなる症状です。また、歩くときに足が出なくなったり、話し方に抑揚がなくなり声が小さくなったりするなど、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。字が小さくなることも、この症状の特徴です(小字症)。

▼2. 静止時振戦(せいしじしんせん)
何もしていないときに震えが起こる症状です。片方の手や足の震えから発生するケースが多いとされています。睡眠中は震えが収まりますが、目覚めると震えがはじまります。1秒間に4〜6回ほど震えるのが特徴となっています。

▼3. 筋固縮(きんこしゅく)
肩、膝、指などの筋肉がかたくなり、スムーズに動かしにくくなります。顔の筋肉がこわばって無表情に感じられるようになり、痛みを感じることもあります。

具体的には、他人が関節を動かすとギシギシと一定的および持続手に抵抗を感じる「鉛管様強剛(えんかんようきょうごう)」と、ガクガクと歯車が噛み合うように規則的な抵抗を感じる「歯車様強剛(はぐるまようきょうこう)」の症状があります。上肢では歯車様強剛、下肢や頸部では鉛管様強剛になることが多いと言われています。

※「鉛管」とは、なまりで作った管(くだ)のこと。主にガスや水道の工事用に使われます。

▼4. 姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)
身体のバランスがとりにくくなり、転びやすくなります。歩いていると止まれなくなる、方向転換をするのが難しいなどの症状が特徴的です。症状が進むと、首が下がったり身体が斜めに傾いたりすることもあります。転倒によって骨折をすることがないように、注意が必要です。

おもに50〜65歳の年齢層に頻発する病気ですが、40歳前後や、逆に70歳以上になって発症する人もいます。40歳未満で発症する場合は若年性パーキンソン病とも呼ばれています。

発症率は約1,000人に1人程度といわれており、現在日本では約20万人のパーキンソン病患者がいると推定されています。詳しい原因はわかっていませんが、5〜10%とごくわずかながら、血縁者に発症者があり遺伝が原因で発症する人がいることも確認されています。

パーキンソン病はゆっくりと進行

パーキンソン病は、時間をかけてゆっくりと進行します。パーキンソン病の進行の度合いは「ホーン・ヤールの重症度分類」で評価され、全部で5つに分類されます。具体的には以下の5つです。

▼1度
症状は片側の手足のみに震えや筋肉のこわばりが現れます。日常生活への影響はごく軽度です。

▼2度
症状が両側の手足に現れます。多少の不便さがありつつも、従来どおりの日常生活を送ることができる状態です。

▼3度
小刻みに歩く、すくみ足がみられるなどの歩行障害や姿勢反射障害が現れます。姿勢反射障害とは、倒れそうになった時や方向転換の時に、反射的に姿勢を直すことができずに転んでしまうような障害のことです。活動がやや制限されますが、自立した日常生活を送ることが可能です。

▼4度
立ち上がることや歩きづらさといった強い症状が両側の手足に現れ、自力での生活が困難になります。日常生活の一部で介助が必要です。

▼5度
一人で立つことが困難となり、車椅子での移動や寝たきり状態を余儀なくされます。この状態だと、全面的介助が必要です。

パーキンソン病の原因は?

パーキンソン病は、中脳の「黒質(こくしつ)」と呼ばれる部位の神経細胞が壊れることによって起こります。この黒質は、人間が元気で活発に生きていくために必要な、感情、学習、意欲に深くかかわる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する機能があります。この細胞が壊れることによってドーパミンの分泌量が減り、体の各器官への情報伝達がうまくできなくなります。

なぜ黒質が減少するのか、まだ完全にわかっていません。しかし、パーキンソン病の患者の脳を調べると、ドーパミンを作る神経細胞などに「レビー小体」というタンパク質の塊ができていることがわかっています。レビー小体とは神経細胞のなかに現れるもので、αシヌクレイン(アルファシヌクレイン)という特殊なタンパク質からできています。