現在多くの高齢者に見られ、社会問題になっている認知症。その70%近くは記憶の障害から始まる「アルツハイマー型認知症」ですが、アルツハイマー型認知症の他にも一定の患者数が認められている、「レビー小体型認知症」という病気があることをご存知でしょうか?

レビー小体型認知症は現在、認知症全体の約5%を占めていますが(報告により5〜40%とばらつきがあります)、アルツハイマー型と比べて認知度が低く、1996年と比較的最近に診断基準が確立されたこともあって治療について十分な経験のある医師も少ないのが現状です。

レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症の仕組みは、アルツハイマー型認知症と似ており、大脳皮質の神経細胞内に特殊なタンパク質の一種(レビー小体)が付着し、脳の特定のグループの神経細胞が破壊されて起こります。

アルツハイマー型認知症と比較すると、蓄積するタンパク質の種類や破壊される神経細胞の種類が異なるため、症状も大きく異なります。女性に多く見られるアルツハイマー型認知症とは対照的に、こちらは男性に多く見られる認知症で、男性の患者数は女性の約2倍と言われています。理由は解明されていません。

レビー小体が脳の中心部の脳幹にたまると、パーキンソン症状を呈します。このパーキンソン症状が表れるのは30〜40代の若い人に多く、レビー小体型認知症は高齢者だけがかかる病気ではないことがわかります。

レビー小体型の症状は?

レビー小体型認知症の大きな特徴として、進行性の認知機能障害、なかでも記憶障害と、幻視を中心とする視覚認知の障害が目立ちます。

記憶障害は初期から認められますが、アルツハイマー型認知症と異なり障害の度合いは比較的軽度で、新しいことを記憶できないというよりは、脳にすでに入っている事柄を思い出せない症状が中心になります。

そのため、アルツハイマー型認知症は、家族が話のきっかけを伝えてもまったく思い出せないことが多いですが、レビー小体型認知症はヒントを差し出すと思い出せることがあります。

小動物や虫、こびと、子供などの幻視は特徴的な症状で、「既に死んだ家族が現れた」「家の中に泥棒が入って来る」というような妄想に発展することも少なくありません。例えば、誰もいないのに「あそこに人がいる」など言い出したら注意しましょう。また遂行能力や問題解決能力が低下するのも特徴です。

認知機能の低下以外では、ほとんどの場合パーキンソン病患者と同様の症状が現れます。パーキンソン病とは神経伝達物質の一つであるドーパミンが減少することによって起こる病気で、脳が発する指令を神経がうまく伝達できず、運動の遅さや筋肉の硬さ、姿勢の不安定性、手の振るえといった症状が代表的です。