介護を受ける高齢者がそうであるように、年齢を重ねると体のあらゆる機能が衰えはじめます。具体的には記憶力や視力、聴力、歩くスピードの低下などが挙げられますが、体の機能低下は食事の面でも大きな影響を及ぼすことも。

歯がもろくなったり、噛む力が弱くなったり、飲み込みづらくなったり...。すると食べられるものが減って元気がなくなってしまう。そんな姿を見ていると介護する側も心配になってしまいますよね。

高齢者でも食べやすい食事を作るために、ご家族はどういったことができるのでしょうか?今回は、高齢者に配慮した「介護食」の基本知識や、おいしく食べてもらうための工夫についてご紹介します。

安全かつ食べやすい介護食を作るための基礎知識

高齢者の食事能力はどのように低下するのでしょうか?代表的なものは、まず、口腔内の清潔が十分に保たれないことや、歯がもろくなったことによる「咬合力(こうごうりょく、噛む力)」の低下が起こります。

これには歯の衰えだけでなく、筋力の低下も関係しています。そして「咀嚼力(そしゃくりょく、噛み砕く力)」や「嚥下力(えんげりょく、飲み込む力)」の低下へと進行するのです。機能低下が起こると、食べものがスムーズに食べられなくなるばかりか、食事をのどに詰まらせてしまい呼吸ができなくなってしまうこともあります。

特に気をつけたいのは、食べもの・飲み物が気管支内に流入することによって起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」。肺炎は高齢者の死亡原因の上位に挙げられる病気のひとつで、その原因の多くが誤嚥性肺炎なのです。 ※「一般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器の病気」より

では、美味しく、安全かつ食べやすい介護食を作るにはどうすればよいのか。今回はそのコツについて学んでいきましょう。

▼食べ物を細かくきざむ
通常食べるサイズよりも食材を細かくきざみ、飲み込むことを助ける調理を「きざみ食」と呼びます。切るサイズは高齢者に合わせて無理なく食べられる大きさにすることが重要です。

きざみ食のメリットは、食べやすいほか、食材の見た目や食感が比較的残って食欲が湧きやすい、などが挙げられます。ただし、「食塊作り(食べ物が口のなかでまとめられること)」を作りにくく、誤嚥を招く場合もあるので注意しましょう(下記「とろみをつける」をご覧ください)。

▼食べ物をつぶす
食べ物を安全に食べてもらうためには、食材をスプーンなどでつぶして提供することも有効です。特に煮込んで軟らかくなったにんじんや大根などの野菜はつぶしやすいため、咀嚼(食べ物が細かくなるまでかむこと)が難しい場合にはぜひ試してみましょう。

▼食べ物をミキサーにかける
食材を細かくきざんでも飲み込むことが難しい場合、ミキサーで食べ物の形を崩してみましょう。ミキサーにかけると食べやすくはなるものの、食材の形や見た目がわからなくなってしまうため、高齢者は「何を食べさせられているんだろう?」と不安になることも考えられます。

そのような場合は、ミキサーにかける前の食材を事前に見せておくと、安心して食べてもらえるでしょう。また、ミキサーにかけた料理を再度固めて元の形状に仕立てるという方法もあります。少々手間がかかりますが、「食塊作り」をした状態になり、誤嚥を防ぐことにつながります。

▼とろみをつける
高齢者は食べ物や飲み物を飲み込む力が衰え、お茶などの液体が誤って気管に入ってしまうことがあります。これは咳き込みや誤嚥の原因になるため、液体には片栗粉やとろみをつける「とろみ剤」と呼ばれる粉を混ぜて、咳き込みを予防しましょう。

主にデンプンを材料にした市販の「とろみ剤」はクセがなく、料理の味に影響を与えない高品質のものが増えてきました。スティックタイプのものも販売されており、外出先で水分を摂るときにも便利です。