厳しい寒さを迎える中、体調不良に心配はつきもの。この季節の健康管理について、医療法人さとう埼玉リウマチクリニック理事長の佐藤理仁医師が解説します。

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 「寒くなってきて、体のあちこちが痛いなぁ」

 そんな経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

 冬本番、体が痛いとクリニックにご相談にいらっしゃる患者さまが増えております。

 そんな「寒さ」と「痛み」を起こす気を付ける病気に関して、実際クリニックにいらっしゃった患者さんの声をもとにご紹介させて頂きます。

■ケースファイル(28歳女性)

 笑顔が素敵な方で、保育士さんとして、お子さんのお世話や後輩スタッフさんへのサポートなど活躍されています。

 今年11月頃より、手指と手首の痛みを感じるようになりました。

 普段からお仕事で小さなお子さんを抱っこすることが多く、腱鞘炎かな?と思って様子を見られていました。しかし、手指と手首の痛みはいっこうに良くならず、そのうちに両膝や両足指の痛みも出てくるようになりました。立膝やしゃがんでお子さんとお話をする機会が多かったのですが、痛みで今までのようにお仕事をするのが難しくなってきてしまいました。

 先輩の勧めもあってお休みをとり、お近くの整形外科医院にかかりました。手・膝・足など沢山のレントゲン写真をとり、「骨には問題ないよ。仕事で使い過ぎでしょ。」との診断でした。

 「なにか病気ではなくてよかった」ホッとしたのもつかの間、手指・手首・膝・足指の痛みはひどくなる一方で、特に寒さの厳しい朝や、寝起きは手足が硬くこわばって動かずことが出来ません。12月に入ると、お仕事を休む日も出てきてしまいました。よくみると手足の痛い関節は、ほんのり赤く膨らんで腫れているように見えます。

 しかし、整形外科医院でのレントゲン写真では問題なしの診断。困ってネットで自分の症状を検索してでてきたのは「関節リウマチ」という病気。しかも、早期の関節リウマチはレントゲンでは写らないので、「関節エコー検査」が必要と書いてあります。

 早速「関節エコー検査」ができるリウマチ専門クリニックを探されて当院を受診。

 関節エコー検査をさせて頂いたところ、手指・手首・膝・足指の関節の中に炎症が起きており、血液検査結果とも合わせて早期の関節リウマチと診断されました。

 現在はリウマチの最新のお薬を使わせて頂き、痛みも良くなり保育士さんのお仕事にも復帰。そしてなんと秋にはご結婚予定とのことで、笑顔がさらに素敵になっていらっしゃいます。

 厚生省のリウマチ調査研究班の報告によれば、関節リウマチの患者数は日本全国で70万人であり、なんと一年に1万5000人が新しく発病されています。関節リウマチが発症するピーク年齢は30−50歳で、女性に多く、女性のリウマチ患者さんは男性のリウマチ患者さんの4倍いらっしゃいます。

 関節リウマチは自分の免疫細胞が関節の中で暴れて悪さをすることが原因です。そして痛みの症状だけでなく、診断や治療が遅れると骨が破壊されて変形が起きてしまいます。

 手指の変形で箸が持てなくなったり、足指の変形で靴が履けなくなったりなど日常生活に大きな影響を及ぼします。またお仕事が出来なくなる方も多くいらっしゃいます。

 しかし、ここ数十年でリウマチのお薬は画期的に進歩し、リウマチの痛みをしっかりと抑えて、リウマチが進行して手指が変形してしまうのも防げるようになりました。

 実はリウマチの進行は、リウマチの発症早期1−2年で急激に進むことが分かってきました。そのため、リウマチを早期に発見して、早期に良いお薬で治療を始めることがとっても大切です。しかし、従来のレントゲン検査ではリウマチの早期診断はできません。なぜなら、レントゲン写真は骨が壊れた跡が写るだけなので、骨が壊れる前の早期リウマチは全く分かりません。そこで登場したのが「関節エコー検査」です。レントゲンでは写らない関節の中をみることができるので、骨は大丈夫だけど関節の中にリウマチの炎症が起きている状態を見つけることが出来ます。リウマチの早期診断に欠かせない検査、それが「関節エコー検査」になります。

 手足が痛くてリウマチが心配という方は、「関節エコー検査」ができる医療機関を受診されることがお勧めです。お電話で「リウマチが心配なんですが、関節エコー検査ができますか?」と受診前に確認してみてくださいね。

■佐藤理仁(さとう・みちひと)/1981年生まれ。医師。2010年昭和大学医学部大学院卒業。医療法人さとう埼玉リウマチクリニック(戸田市)理事長

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