文系の時代到来か

科学技術振興施策の対象外とされてきた、人文・社会科学を含めるため、科学技術基本法の改正に向けて動き出した。

近年はiPS細胞やゲノム編集などの生命科学や、人工知能(AI)、IoTなど情報通信の研究が進んでいる。また、持続可能な開発目標(SDGs)が、世界の共通言語となるなか、人文・社会科学(文系)の知見を求める声が活発化している。

わが国では、中国の「ゲノムベビー」問題を受けて、日本哲学会、日本宗教学会、日本倫理学会の人文系学会が声明を発表するなど、法律や倫理面で意見が活況を呈している。

産学連携の現場でも、「理系の技術だけでは、物は売れない。マーケットや広報も必要だ」と、経済・経営学的知見に期待する声を何度も聞いた。当たり前だが、モノを作っても、売れなければマーケットは形成されない、雇用も生み出せない。特に人的問題から、組織が分業化しにくい中小企業は、販売に苦労する場面も出るだろう。

科学技術基本法は、科学技術振興を目的とした施策を講じるための法律だ。しかし「人文科学のみに係るものを除く」と明文化されているという。これが、一時期の文系軽視と言われた根拠だろう。

このような潮流の中、政府の総合科学技術・イノベーション会議は、人文・社会科学を加えるため、科学技術基本法の改正に乗り出した。25年ぶりの抜本的改正だという。

産学連携は、「文理の壁」を取り払い総合力で……。もしくは、文系単独でも社会実装可能な新時代に突入した。

少子高齢化が進むなかで、大学は国公私立に関係なく、学生やその保護者に選ばれるためには、社会の要請に応えていくことが必要だ。比較的文系中心の大学が多い私立大学は、今後どう組織を改編し、どんな取り組みが出てくるか楽しみになってきた。

(国立研究開発法人 科学技術振興機構 本誌編集長 山口泰博)

産学官連携ジャーナル 2019年5月15日発行号


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