タイヤを横滑りさせながら車を走らせる、ドリフト競技国内最高峰の大会「フォーミュラ・ドリフト・ジャパン(FDJ)」に参戦する男性が益田市内にいる。同市高津7丁目で自動車整備会社を営む斎藤育生さん(49)=益田市遠田町=で、技術や専門知識を武器に「自分がやりたいことをやってきた。中年の星になりたい」と話す。

 もともと車好きで20歳のときに自動車整備会社「ウエストオート」を起業した。ドリフト競技を始めたのは15年ほど前。岡山県や広島県の車仲間に誘われ、岡山国際サーキットなどで実際に競技を見た。「すごい。なんて面白いんだ」とほれ込み、出場ライセンスを取得し、初出場の大会で準優勝。のめり込んだ。

 フォーミュラ・ドリフトは2004年に米国で始まり、15年に日本シリーズとなるFDJが発足すると国内外からエントリーがあり、斎藤さんも参戦した。

 年に6戦があり、走行軌跡の「ライン」とドリフトの角度「アングル」、ドリフトの迫力を意味する「スタイル」の3項目で審査する。土曜日にある予選では2回の単独走行で採点し、予選を勝ち抜いた32人が日曜日の決勝に進出する。決勝は1対1のトーナメント方式で、リード(先行)とチェイス(後追い)を入れ替え計2回の走行で勝敗を決める。

 今年は4月6、7日に静岡県の富士スピードウェイで初戦があり、斎藤さんは愛車のGTRを駆って見事決勝に進出し、8位入賞を果たした。

 ドリフト競技に参戦してからは、東京など全国から顧客が斎藤さんの整備会社を訪ねてくるようになり、競技車のカスタマイズ(改良)を注文する。排気量を上げ、壊れずに走れる車という求めに応える。

 愛車で結果を出せば宣伝にもなる。「FDJは学習発表会。自分で組んだエンジンを搭載した車で、第一線で通用することを立証したい」と語る。

 次戦は18、19日に鈴鹿ツインサーキット(三重県)であり、参戦を予定する。「いつになるか分からないが、本場の米国で一度走ってみたい」と夢を描く。