米中両政府が15日に貿易協議の「第1段階」合意に署名したことを受け、日本国内では歓迎する声が相次いだ。中国と米国は日本にとって1位と2位の貿易相手国のため、米中貿易摩擦激化の回避は日本経済にプラスに働くからだ。ただ、米国は発動済みの制裁関税を当面維持するほか、中国の産業補助金見直しなどの構造問題は先送りされた。このため、今後の「第2段階」の協議の行方に期待と不安も入り交じる。

 菅義偉官房長官は16日の記者会見で、米中合意の署名について「前向きな動き」として評価した。

 平成30年の日本の輸出先は、金額ベースで中国の占める割合が19・5%と最も大きい。同じく米国は19・0%と2位だ。その分、貿易摩擦にともなう米中の需要減は、日本の輸出に直撃する。財務省によれば、昨年11月の中国向け輸出は、前年同月比5・4%減と9カ月連続のマイナス。米国向けも12・9%減と4カ月連続のマイナスだった。

 今回の合意署名で貿易摩擦はいったん休戦に入ったが、対立が完全に解消されたわけではない。第2段階の交渉が難航すれば、米中摩擦が再び日本経済の不確実要因として浮上する。

 日本貿易会の中村邦晴会長(住友商事会長)は16日、第1段階の合意署名について「対立緩和への第一歩を踏み出したことは先行き不安の払拭に大きく寄与する」と、歓迎のコメントを発表。その上で「第2段階の合意へと進むことで、自由で公正な貿易・投資体制が強化されるよう願っている」と、交渉のさらなる進展に期待を寄せた。

 一方、全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は16日の会見で「第2段階の交渉については、見通しが立っていない」と、先行きを懸念した。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも「合意の第1段階は、米中経済の不安定化のリスクを一時的に封印したものに過ぎない」と指摘する。