スマートフォン決済の広がりなどで急速に進むキャッシュレス化が、財布の形を変えている。お札をきれいに収められる長財布の売り上げが下がり、カードと小銭入れに用途を絞った小型財布や、大きめのスマホケースが伸びているという。こうした中、阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)は従来型の財布売り場をなくす方針だ。一万円札の発行も減っている。立派な財布を持つのはもう古い?(粂博之)

 昨年秋の消費税増税に伴うポイント還元、スマホ決済の普及で「小型財布の売れ行きが急速に伸びた」と同店の担当者。「女性用の7割、男性用の半分以上を占めていた長財布は、いずれも5割を切っている」

 男女とも代わって伸びているのが、二つ折りや三つ折りの小型だ。お札よりもカードがメインで、小銭が少々入る。スマホケースと小型財布を組み合わせたものも、この1年ほどで人気が高まり、財布の売上数の「10%を超える」という。

 同店の女性用財布売り場ではカードやスマホ、化粧品などがまとめて入る「財布以上、かばん未満」の商品も注目を集めている。このため、秋にも女性向け「財布売り場」をなくして、キャッシュレス化に対応して「身の回りの小物を包む商品」を中心とする売り場に改装する方針だ。

 投資や資産運用の講座を開くファイナンシャルアカデミー(東京)が2月に20〜40代の男女300人を対象に実施したインターネットアンケートによると、「キャッシュレス支払いの方が多い」「キャッシュレス支払いのみ」が計52%と過半数を占めた。キャッシュレス派のうち「ミニ財布」を使う人は45%と「長財布」の43%を上回り、カードケースなどを使い「財布を持たない」人は11%だった。

 一方、日銀が令和2年度に発行を予定している一万円札は9億2000万枚と3年連続で前年度を下回る。現在のデザインとなった平成16年度以降で、10億枚を下回るのは初めてとなる。

 日銀は、世の中に出回るお金を増やすため、金融機関から国債や上場投資信託(ETF)などを買い入れる「金融緩和策」を続けているが、実際にお札の印刷をじゃんじゃん増やしているわけではない。まず金融機関が日銀に持つ当座預金口座に金額を記入し、「金融機関から引き出される現金の流通状況などをみて、紙幣の印刷枚数を決める」としている。