新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が5月21日、大阪、京都、兵庫の関西3府県で解除され1カ月余りが過ぎた。訪日外国人客(インバウンド)への依存度が高かった関西の業態のうち、百貨店は復調の兆しが出ている一方、ホテルは戻りが鈍い。外出による感染への消費者の警戒感は依然強く、近隣を商圏とする百貨店と、遠方からの観光客などをターゲットとするホテルで明暗が分かれた格好だ。(田村慶子)

国内客戻る

 大手百貨店4社の5月の売上高(既存店ベース)は前年比約5〜7割減と、新型コロナの影響で4月に続き厳しい状況だった。しかし、宣言解除後の6月は全館営業を再開する店舗が増え、業績の回復が進んでいる。

 高島屋大阪店(大阪市中央区)は5月に前年同月比69・5%減だったが6月は約25%減で推移。あべのハルカス近鉄本店(同市阿倍野区)も5月は約60%減だったが、6月は約24%減で推移し減少幅が大きく改善した。

 高島屋大阪店の昨年の売上高に占めるインバウンドの比率は約20%。今年6月は売上高全体が前年同月比25%減で推移しているため、インバウンド分(20%分)は剥落したままだが、国内客の大半は戻ったことになる。担当者は「休業していた分、反動で需要が増えた要素もある」とする。

オンラインで底上げ

 著しく回復しているのが郊外店だ。「テレワーク(在宅勤務)や外出自粛が続き、(郊外に住む人は)遠出せずに買い物ができる」と高島屋の担当者。郊外店は都市型店に比べ、内食・中食需要に応える食品の品ぞろえが多いのも理由という。

 6月は高島屋泉北店(堺市)が25日時点で7%増と、この水準でいけば前年を上回る見通し。近鉄百貨店は、奈良店(奈良市)が同日時点で0・3%減と6月はほぼ前年並みまで回復した。

 百貨店各社にとって今の課題は催事の開催が難しいことだ。催事は店舗全体の売り上げ増につながる“シャワー効果”があり、本格回復には欠かせない。

 オンライン化で底上げを図る動きも多く、高島屋大阪店では平成27年から毎年開催していた日本酒の物産展「日本酒祭」を6月24日にオンライン上で始めた。近鉄百貨店も7月1日から8月末まで、初となるオンラインでの北海道物産展を開催する。

宿泊特化のホテル好調

 一方、関西のシティーホテルにおける4〜5月の客室稼働率はリーガロイヤルホテル(大阪市北区)が約15%、帝国ホテル大阪(同)は5%前後まで落ち込んだ。6月はこれより改善しているが、神戸市内のあるホテルは、7、8月時点でも「稼働が5割超えるか見通せない」とする。

 昨年の客数に占めるインバウンドは、リーガロイヤルホテルが3割程度、帝国ホテル大阪が最大5割程度だった。新型コロナで、インバウンドが完全になくなった。

 加えて、国内客についても、「まだ外出に対しては慎重。人の目も気になるのでは」とシティーホテルの担当者は口をそろえる。

 「ブランドイメージを損ねる」との懸念から客室料金は下げづらく、もともとレジャー利用を想定した施設のため料金を下げても集客しづらい面がある。8月に開始が予定される、政府による観光などの支援策「Go To キャンペーン」に期待をつなぐ声が相次いだ。

 これに対し、ビジネスホテルなど、レストランや宴会場を設けず、宿泊に特化したタイプは復調が進んでいる。高級ブランドを掲げるシティーホテルと比べて客室料金を抑えやすく、使い方も柔軟に対応できる。テレワーク向けの日帰りプランなどが人気を呼んでいる。

 稼働率は6月に入り、大きく上がり始めている。大阪や東京などに展開するホテル運営会社は、2割を切った4月を底に緊急事態宣言解除後は改善。6月以降は4〜5割と稼働が戻ってきた。全国で約150店舗展開するスーパーホテルも6月は50%強に達している。いずれも客室料金を抑え、テレワークなどビジネス需要を取り込んでいる。