連動、合奏…AIピアノと奏でる音 ダンサーやベルリンフィル団員とも共演

 ヒトの動きに合わせ、音楽家の演奏データを奏でる「AI(人工知能)ピアノ」がさまざまな場で活用されている。世界的なダンサーと連動したり、動画投稿サイトで人気を集めるピアニストとAIピアノが合奏したり…。AIとヒトはうまく“呼吸”を合わせられるのか。共演者らに展望と課題を聞いた。(竹中文)

 東京都台東区の東京芸術大の一室は活気に包まれていた。公演「舞・飛天遊」に向けて11月16日に行われたリハーサル。大手楽器メーカー「ヤマハ」が開発したAIによる自動演奏システムを搭載したグランドピアノを使用し、海外でも高い評価を得るダンサー、森山開次(43)が技術者らと稽古に挑んだ。

 AIは森山の手や足、背中に取り付けられたセンサーから動きの微妙な変化を察知して音階に変換し、自動演奏ピアノの鍵盤を動かす。森山は背中などの筋肉を動かしながらピアノの音色を確認していた。

 AIピアノがダンサーの動きに合わせて同時に音を出すためには、ダンサーの行動を予測しなければならない。開発を主導したヤマハの田邑元一(たむら・もといち)・第1研究開発部長は「予測技術は向上しているが、今後はもっとダンス表現を細かく理解できるようにしたい」という。

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 「最初は僕の動作によって音を奏でる必要はないのでは、と思っていた」という森山。しかし、今回の試みに取り組むうちに気持ちが変化したという。動きが音に変換されることで、ダンサーの表現は拡張される。「表現や動きの選択の幅が広がったように思えます。それに“察知する”という人間の能力の大切さを知る良い機会にもなった。AIピアノは、一音に命をかける音楽家の表現にはまだ行き着いていない。ヒトの能力はすごいな、と改めて気付かされました」

 本番では、世界屈指のオーケストラ「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」の団員によって1983年に設立された室内合奏団「シャルーン・アンサンブル」と音色を重ねた。同合奏団とAIピアノとの共演は昨年に続いて2度目となる。今回は東京芸大副学長で作曲家の松下功(66)が手掛けた共演曲「舞・飛天遊」を披露した。松下は「AIなどの新しい技術に抵抗するのではなく、今の時代に適応した『新しい伝統』を創造していきたい」と力を込める。

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 AIは昨年、囲碁で世界トップクラスの韓国人プロ棋士らを相手に勝利。その後も進化を続け、今年、世界最強とされる中国人棋士にも勝った。しかし、松下は言う。「音楽界ではAIとヒトが一緒に曲を作り上げることができるので、勝ち負けを意識する必要はない。つまり、われわれは“共存”ができるはずなんです」

 今秋、東京都江東区の日本科学未来館で開催された「デジタルコンテンツEXPO 2017」でもAIピアノが注目された。ヒトの演奏を瞬時に把握できるようになったAIピアノは動画投稿サイトで人気を集めるピアニスト、よみぃ(20)の演奏に寄り添うような合奏を披露。来場者は緩急自在の音色に酔いしれた。よみぃは「現時点ではAIピアノがヒトに寄り添ってくれているような状況。これは理にかなったシステムだと思う」と指摘した。

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