7都府県に緊急事態宣言が出た4月7日にリモートドラマを企画し、13日に動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」にアップしました。コロナ禍で最初のリモートドラマだったと思います。今やテレビはリモート番組だらけになりましたが、リモートはどうしてもバリエーションが少ないから、どんなに良くできていても飽きられてきていると感じます。

 旅番組は旅に行けないし、スタジオでも離れてトーク。2メートルも離れてしゃべるなんて不自然です。バラエティーは人が安心するために見るものなのに、ソーシャルディスタンスを取るだけで緊張感が出る。今、バラエティー番組にハイタッチのシーンがあったら気になりますよね? 人と人の触れ合いに、ドキッとする癖がついてしまった。

 ソーシャルディスタンスを取らないといけない物理的な苦しさ、出演者の距離が近いと不安になる視聴者の意識変化に加え、企業の売り上げが下がれば、テレビ局の営業も厳しくなるでしょう。そうなると制作費も下がる。この3点は長期的に影響するでしょうから、各局が協力して元に戻していかないといけない。

 ■ネットに人材流出も

 ただ、これを機にやらなかったことをやれるチャンスはある。地上波はユーチューブで流せないが、放送後に流し、再生回数に応じてお金が入ってもいい。大手企業がお金を出して一緒に番組を作り、放送後はその企業のチャンネルだけで見られるなどの取り組みも増えるかもしれない。

 ステイホームによって、「Netflix(ネットフリックス、通称・ネトフリ)」やユーチューブを「テレビ画面」で見る人が増えた。わが家のテレビはネットにつながるので、5歳の息子はユーチューブをテレビで見ます。スマートフォンだと小さくて疲れるので。今までテレビとスマホは分かれていたが、これからはテレビという「画面」の取り合いになり、あらゆるものが地上波のライバルになるでしょう。

 地上波の番組を作っている人たちは、やはり制作能力が高い。そういう人たちがネットテレビに流れていくかもしれません。地上波が韓流ドラマを流さなくなった中、「梨泰院(イテウォン)クラス」「愛の不時着」によって新たな視聴者を獲得したネトフリのように、コンテンツ力がますます問われるでしょう。

 ■放送形態も変わる

 このコロナ禍に「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日、AbemaTV共同制作)というドラマの脚本を担当して感じたのは、いろいろな見方をする視聴者のリアクションを楽しみながら作るのがおもしろいということです。

 「M」は3話流したところで収録がストップ。伊集院光さんがドラマについてラジオで語っていたので、伊集院さんと古市憲寿君(社会学者)の語りを副音声にして再放送しました。放送するものがなくなって、新しいものを作れた。

 昨年話題になったドラマ「あなたの番です」(日本テレビ)は2クール(6カ月)続けて放送し、視聴者がネットで展開を考察しながら楽しんだ。韓国では1週間にドラマを2話流します。決まった曜日の同じ時間に流し、1クール11〜12話で終わるという日本のドラマの放送形態も壊れるかもしれません。

 これまでテレビの指標は主に視聴率でしたが、これからは世の中を動かしたり、商品として売れたりする番組が強い時代になっていくでしょう。10万人が濃く、深く見ている番組にスポンサードしたい人が出てくれば、100万人が見ている番組に勝てる。コロナ禍が明けたとき、テレビという画面を取り合いながらどんなものが生まれるか、楽しみでもあります。(聞き手 道丸摩耶)

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 〈すずき・おさむ〉 昭和47年、千葉県生まれ。放送作家を志し、19歳でデビュー。数多くの人気バラエティー番組のほか、映画やドラマの脚本、小説の執筆などを手掛ける。平成14年にお笑いトリオ「森三中」の大島美幸さんと結婚し、1男。