目の前に本棚が出現…仮想空間で本探し、「立ち読み」も シャープOBら「VR書店」を開発

目の前に本棚が出現…仮想空間で本探し、「立ち読み」も シャープOBら「VR書店」を開発

 シャープOBらが設立したベンチャー企業が、書店を再現した仮想現実(VR)空間の中で、好きな本が探せる「VR書店」の企画・開発に乗りだした。今年前半にも実証実験を開始し、平成32年前後に地方の商店街の空き店舗などのスペースで開設する計画だ。斬新な発想でヒット商品を連発してきたシャープのDNAを生かし、過疎化が進む地方の活性化につなげ、本との出会いの場や新たな読書の楽しみ方の提供を目指す。

 企画・開発を行うのは、シャープの企業理念である「誠意と創意」を引き継ぎ、革新的な製品の創出を目的に結集したシャープOBの高嶋晃社長らが昨年11月4日に設立したベンチャー「team S」(チームエス、東京都)。

 シャープ創業者の早川徳次氏の誕生日の11月3日の設立を望んだが、祝日で法務省の会社設立の登記受付窓口が閉まっていたため、翌日に設立。高嶋氏のほか、シャープOB7人が分担して企画・設計・販売を手掛ける。

 VR書店は実際には本がないが、店舗内で来客がウエアラブル端末を頭部に装着すると、目の前に本棚が並ぶ書店を模したVR空間が広がる仕組み。歩いて本を探したり、「立ち読み」したりすることができる。

 課題は本の閲覧方法だ。コントローラーを操作して行う手法のほか、手を空中で動かし、本を棚から取りだしてページをめくる一連の行為を疑似体験できる技術の開発も検討する。気に入った本があれば、インターネットなどを通じて注文・購入できる。

 構想の背景にあるのは、全国で相次ぐ書店の閉店だ。出版業界関係者によると、書店が1軒もない地方の市町村は増加傾向にあるという。過疎化に加え、出版不況や電子書店の台頭なども要因とみられる。

 高嶋社長はシャープで大きなモニターがついたビデオカメラ「液晶ビューカム」などの商品企画に携わり、12年に退社後は、電子書籍配信大手イーブックイニシアティブジャパンを共同創業した。

 電子書籍の普及に努めてきた立場だが、「電子書店は本の検索購入には便利だが、まちの書店で体験できる本とのわくわくする出会い、店員とのコミュニケーションを求めるのは難しい」と指摘。

 VR書店の将来像について「人が集まり、交流をしながら読書が楽しめるスペースにしたい」と語る。まずは地方自治体と連携し、今年前半にも商店街の空き店舗を活用し、図書館を再現した原型モデル「VR図書館」の実証実験を実施。課題を探り、運営方法などを詰める。高嶋社長は「VRの先駆者になりたい」と意気込んでいる。

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