マダニにかまれ発症…増える「SFTS」患者 野良猫から感染も 有効な治療薬なく

マダニにかまれ発症…増える「SFTS」患者 野良猫から感染も 有効な治療薬なく

 マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者数が増加している。今年は、今月1日時点で85人と過去最多になった。先月には初めて、イヌからヒトへの感染例も報告されている。国立感染症研究所ウイルス第一部の西條政幸部長に、対策を聞いた。(油原聡子)

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 SFTSは、2011年に中国の研究者が発見したウイルスが原因だ。主に、ウイルスを持つマダニにかまれることで感染する。日本のほか、中国や韓国でも患者が報告されている。

 マダニは、森林など屋外に生息する大型のダニ。西條部長は「SFTSウイルスを持つマダニは5%程度です。かまれても必ずしも感染するわけではありませんが、感染するとほぼ発症します」と説明する。

 日本国内でヒトへの感染に関わっているのは、「フタトゲチマダニ」と「タカサゴキララマダニ」だ。

 感染研によると、11月1日時点での今年のSFTSの患者数の報告は85人。このうち死亡は7人で、日本で初めて発症例が確認された平成25年以降で過去最多となった。これまで国内では西日本を中心に315人の発症例があり、60人が死亡。致死率は約20%と高い。

 西條部長は「今年は、日本紅斑熱などダニ媒介のほかの感染症の発症例も多く、例年よりマダニの数が多かったのではないか」と推測する。

 潜伏期間は6〜14日間

 ウイルスに感染すると6〜14日間の潜伏期間を経て発症する。西條部長は「初期には風邪に似た症状が出て、だんだんと重くなっていきます」。

 発熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状がみられ、重症化すると意識障害や言語障害のほか、下血などを起こし、死亡に至る例もある。患者のうち9割が50歳以上で、高齢になるほど重症化する。

 マダニの多くは、春から秋にかけて活動が活発になる。SFTSの発症例が多いのは5月から8月だが、秋以降も安心はできない。

 現在、有効な治療薬やワクチンはなく、発症すると対症療法が中心となる。ただ、感染研と西日本の一部医療機関で作るチームが現在、治療法の臨床研究を進めているという。マダニにかまれないようにすることが大切だ。

 飼い犬からの感染も

 最近では、身近なペットからの感染も注意が必要なことが分かってきた。

 SFTSウイルスはヒトだけでなく、シカやイノシシなどの動物にも感染する。厚生労働省によると、国内では昨年、西日本の女性が野良猫にかまれた後にSFTSを発症し死亡。ネコからヒトへの初の感染とみられる。また、先月、SFTSを発症した飼い犬を介護した徳島県の男性が、SFTSに感染していたことが確認されたと発表した。イヌからヒトへの感染確認は初めてだという。西條部長は「ウイルスは唾液や血液、便などに含まれています。発症した動物に触れた手で、自分の目の粘膜や傷口などに触れると、感染してしまう可能性がある」と指摘する。犬の体をさするなどした際に、唾液や血液などから感染したとみられるという。この男性は、その後、回復した。

 ただ、健康な状態のペットから感染する可能性はない。西條部長は「弱っているペットの介護をするときには、素手で触らず、かまれないように注意してほしい」と話している。

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