異世代ホームシェア…シニアと学生の新しい互助

異世代ホームシェア…シニアと学生の新しい互助

 お笑い芸人と1人暮らしの高齢女性が“一つ屋根の下”で温かな絆を育む漫画「大家さんと僕」(新潮社)がロングセラーとなる中、学生が高齢者の自宅の空き部屋を間借りし、ともに暮らす「異世代ホームシェア」の取り組みが広がりを見せている。参加する高齢者の多くは1人暮らし。学生にとっては下宿よりも経済的で、高齢者にとっては1人暮らしの不安を減らすことができる。何より、世代を超えた交流が高齢者の毎日を明るくしている。(津川綾子)

                   ◇  

 東京都練馬区の宮本幸一さん(76)宅の玄関を開けると、宮本さんの靴の横に、きちんとそろえられた若者のスニーカーが並んでいた。靴の主は早稲田大4年の荒木遼太郎さん(21)。荒木さんは今年5月から、宮本さん宅に住んでいる。

 刺激受け元気に

 2人とも個室はあるが、玄関、リビング、風呂、洗濯機は共用。共用部の掃除は気づいたほうがやる。食事は基本別々だが、週1回程度、どちらかが夕食を2人分作り、リビングで一緒に食べると決めている。

 6月初旬、荒木さんはアサリのパスタ、宮本さんは野菜サラダを作った。下宿や昔ながらの「間借り」との大きな違いは、こうした「交流」を目的にしている点だ。「家主」と「間借り人」の関係とは一線を画す。

 「荒木君からは、哲学者のプラトンのことなんかを教わったり。話すと今まで知らなかった世界が広がるし、若いエネルギーに元気をもらえる」と宮本さん。荒木さんも「僕が靴をそろえるようになったのは、宮本さんから『心が整う』と教わったから。ごみの捨て方、食器の洗い方、一緒に暮らしながら知らなかった生活の知恵を教わっています」と明かす。

 ◆経済的暮らし

 2人を引き合わせたのは、異世代ホームシェアの普及を推進するNPO法人「リブ&リブ」(東京都練馬区)。「少子高齢化が進む中、シニアの孤立を防ぎ、世代と血縁を超えた新たな絆をつなぐ」(リブ&リブ代表理事、石橋●(ふさ)子さん)ことを目的とし、地方から上京した学生と高齢者をつなぎ同居中も双方の相談に乗り見守る。

 家賃は無料、学生がシニアに払うのは光熱費や生活雑費として月2万円と経済的だ。平成24年の設立以降、都内を中心に13組の同居が成立した。「学生にはおかげで東京で勉強ができると喜ばれ、シニアの方は目に見えて若く元気になっていく」と石橋さん。

 異世代ホームシェアは、福井大学、京都府なども取り組んでおり、徐々に全国に広がっている。京都府の取り組みは、学生側が支払う住居費は2万5千〜3万5千円程度で、これまで9組の学生とシニアの同居が成立。学生がお風呂の天井掃除を買って出るなど、シニアの暮らしを助けようとする姿も見られる。冒頭の宮本さんは、これまで5人の学生を送り出してきた。「どの子もシニアを大切にしようと思ってくれている」と話す。

 27年の国勢調査によると、65歳以上の約6人に1人が1人暮らしで、今後ますます増える見込みだ。異世代ホームシェアは、高齢者が孤立せず明るく毎日を暮らすための、新たな道を示しているとも言えそうだ。

●=金へんに英


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