文部科学省が24日に検定結果を公表した中学校教科書(令和3年度から使用)で、英語は新学習指導要領を受け、より実践的な内容にリニューアルされた。新指導要領が掲げる「読む・聞く・書く・話す」の4技能のうち、特に「聞く・話す」で互いの考えや気持ちなどを伝え合う会話形式の活動を重視。日常的な話題を扱ったり、即興の会話を促したりと、各社とも「使える英語」を身につけられるよう工夫している。

「ペアになって」

 「ペアになり、昨日の夜8時に何をしていたかをたずね合いましょう」

 光村図書出版の教科書は全編にわたり「ペアになって」「伝え合いましょう」と、英語で会話を促すコーナーが頻繁に登場する。題材としては、小学生のときになりたかった職業や友人の長所についてなど、中学生の誰もが話題にする身近なテーマが並んだ。

 即興の会話力を養うコーナーでも、会いたい人や住んでみたい都市などをたずねる文とともに、答えに使う言い回しの例を掲載。同じページに「Uh−huh(そうですね)」といった相づちの仕方まで紹介している。編集者によれば、このコーナーを「授業で毎回5分でも使ってもらえれば、3年間で相当の会話力が身につく」。

 「May I try on this shirt?(試着していいですか)」

 三省堂の教科書では、許可を求める文章を学ぶページで、マンガ本のようにイラストをふんだんに使い、生徒が場面を頭に浮かべやすいような工夫をした。さらに応用編で、レストランや博物館など場面を変え、「May I〜」を使った英会話を生徒同士で自由に行うよう促している。

QRコードも活用

 各社とも日常生活で使える英語を意識した構成が多く、教育出版の編集担当者は「伝える英語が自分にとって意味のある内容であることが大切」と説明する。

 各社が「使える英語」に力を入れる背景には、小学校から中学、高校、大学へと続く英語教育のスムーズな連携だ。小学校では今春から英語が教科化され、会話重視の授業がスタート。高校では来年1月実施の大学入学共通テストで英語民間検定試験の導入が見送られたものの、4技能をバランスよく学ぶことがこれまで以上に求められるようになる。

 その一方、従来の教科書のような空欄の穴埋めや単語の並び替えで英文をつくるといった設問は影を潜めた。また、教科書の文章を音声で聞けるQRコードの活用など、生徒の興味や意欲が持続するような工夫も目立つ。

 光村図書出版の担当者は「これからの授業は先生が知識を伝える場ではなく、英語を使う場に変えてほしい−というのが、新指導要領の狙いだろう。私たちもそのつもりで教科書を作った」と語った。