神奈川県の横須賀市はカレーを使ったまちおこしの原点となった「カレーの街宣言」から昨年で20周年を迎え、今年も新たな一歩を踏み出すべく、年明けからさまざまな企画を打ち出している。小学校での全校一斉統一献立やスパイスの作り方教室などを通して市民の意識向上を図り、カレーの街としての飛躍を目指している。新型コロナウイルスの感染拡大は終わりが見えず、5月に予定されていたイベントも延期が決まったが、関係者らは秋にはイベントを実施したいとしており、「カレーを食べに横須賀に来てほしい」と話している。

 1月末に市内全ての市立小などで給食の献立をカレーライスとする「全校一斉カレーの日」を実施し、計48校で約2万食のカレーがふるまわれた。この取り組みは平成23年度に開始し、今年度が9回目。市の未来を担う子供たちに、まちづくりへの興味促進とカレーの街の市民としての意識付けを図った。

 ■認定店制度が

 給食の提供に加え、市立浦郷小では6年生の児童約90人に、カレーの基礎知識やスパイスの作り方を学ぶ教室も実施。給食では食物アレルギーに配慮し、多くの子供にカレーを味わってもらえるよう、カレーのルーに小麦粉ではなく米粉を使用した。同小6年の大東龍平くん(12)はカレーをほおばりながら「ちょっと辛いけどおいしい。自分でスパイスを混ぜ、家族にも作り方を教えてあげたい」と笑顔を見せた。

 市は11年に「カレーの街宣言」を行い、市、商工会議所、海上自衛隊横須賀地方総監部、市内の各店舗が一体となってカレーの街の盛り上げに努めてきた。認定店制度のもと、現在、市内では50以上の店が「よこすか海軍カレー」を提供している。レシピや製造方法などが規定され、月に1度厳正な審査を行い、各店舗の味と品質を支えている。

 市内中心部にあり、アンテナショップを併設する店舗「横須賀海軍カレー本舗」(同市若松町)では、セットメニューとして、カレーライスのほか、牛乳、サラダ、チャツネと呼ばれるペースト状の香辛料、コーヒーが付いて税込み1380円で提供している。

 ■チャツネで味調節

 カレーは牛肉か鶏肉を選択でき、大きな角切りのニンジン、ジャガイモがたくさん入っている。辛さはそれほど強くなく、適量のため、女性や子供も食べやすそうだ。チャツネを少量、ルーに混ぜることで味がマイルドになるなど、味を調節できる楽しさも「よこすか海軍カレー」の特徴だ。

 イベントも続々開催されている。2月8日には市内で「カレーは日本を救う」と題したシンポジウムを開催。武蔵小杉(川崎市)や東京・神田、下北沢など“カレーの聖地”と呼ばれるエリアのイベント仕掛け人らが討論した。「よこすかカレー大使」の一条もんこさんによる、横須賀をイメージしたスパイスカレーの試食会も行われた。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、5月16、17日に行われる予定だった横須賀市最大のカレーイベント「よこすかカレーフェスティバル」は延期となった。市の担当者は「感染拡大の終わりが見えない中、(開催時期は)まだはっきりしないが、住民や業者の開催への期待はとても大きく、秋にはぜひ開催できるようにしたい」と意気込んでいる。

 同フェスティバルは三笠公園(同市稲岡町)で開催し、全国のカレー店が味を競う「全国ご当地カレーグランプリ」や、「よこすか海軍カレー」と「海上自衛隊カレー」の食べ比べができるバイキングなどを行う予定。11年に開始し、昨年は約6万5千人が来場した人気のイベントだ。

 市観光課の矢部賢一課長は「一店一店の頑張りがあり、市も両輪となってまちを盛り上げていきたい。市にわざわざ来てくださる方には、横須賀で食べるカレーはひと味違うと感じてほしい」と期待している。