釜石津波訴訟 「命の重み考えない判決」 主張認められず控訴へ 岩手

 東日本大震災の際、指定避難所でない釜石市の鵜住居地区防災センターに避難して津波の犠牲になった女性2人の遺族が、市を相手取って起こした損害賠償訴訟は21日、盛岡地裁で請求が棄却された。

 敗訴を受け、原告代理人の弁護士は「到底許し難い判決」と述べ、近くの市立幼稚園の臨時職員だった女性=当時(31)=の遺族は「主張が一切認められず、亡くなった162人の命の重みを考えない不当な判決だ」とコメントし、控訴する考えを示した。

 争点は市が同センターを津波避難訓練の会場に使ったことで、周辺住民がセンターを指定避難場所と誤解したかどうかにあった。判決は「訓練には相当数の住民が参集していたが、その事実のみで避難場所と誤解させたとはいえない」と原告側の主張を退けた。

 代理人は判決後の会見で、「なぜ多くの人が(同センターに)逃げ込んだのかに触れられていない。津波が来るかもしれないのに、海の近く(の同センター)に逃げている。誤解させたとはいえない、との認定には矛盾がある。津波の危険性を判決は無視している」などと批判した。

 盛岡市内で会見した釜石市の野田武則市長は「われわれの主張が認められた」と判決を評価する一方、反省の言葉も口にした。

 野田市長は「正直なところ、まさかこれほどの津波が来るとは想定しなかった」と述べ、震災前後で世間の津波への認識が大きく変化したと指摘。「震災経験者の視点から見れば、不十分なところがあったと言わざるを得ない」として、「行政としてきちんと反省して取り組んでいかねばならない」と語った。

 震災の津波犠牲者の遺族が、学校や企業といった管理者側の責任を問う訴訟は岩手、宮城両県で少なくとも15件起こされた。

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