警察庁が13日に公表した集計では、全国の警察が昨年摘発した「あおり運転」が1万5千件を上回り、危険運転がいまだ横行する現状が明らかになった。警察当局は危険なドライバーの取り締まりを強化し、厳罰化に向けた法改正も今国会で進められる見通し。今夏に東京五輪・パラリンピックを控え、安全な交通環境の整備は喫緊の課題だ。

 あおり運転は平成29年、神奈川県の東名高速道路で無理やり停止させられた車の夫婦にトラックが追突し死亡した事故を機に社会問題化。警察庁は30年1月に全国の警察に摘発強化を指示し、昨年、あおり運転などによる道路交通法違反(車間距離不保持)で摘発された件数は前年比2040件(約15・7%)増の1万5065件にのぼった。

 警察庁によると、あおり行為で事故を起こし死傷者を出したとして、自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪(妨害目的)を適用した事例は33件(前年比8件増)。刑法の適用は44件(同15件増)で、罪種別では暴行34件▽傷害7件▽威力業務妨害2件▽強要1件−だった。

 一方、道路交通法は交通の危険を著しく生じさせる恐れがある運転者を「危険性帯有者」として最長180日の免許停止にできると規定。昨年中の適用は52件(同10件増)だった。

 ただ、道交法にはあおり運転について明確な定義がなく、車間距離保持義務違反や進路変更の禁止違反などの容疑を適用。警察庁はあおり運転を新たに定義し、違反1回で即免許取り消しのほか、懲役刑を設ける同法改正案が今国会に提出される予定だ。

 MS&ADインターリスク総研自動車RMグループ長の岩田幸大氏(交通リスクマネジメント)は「法改正で抑止効果が期待できる。世界の目が日本社会に向けられる東京五輪を機に運転モラルの強化につなげ、安全な交通環境の実現をレガシー(遺産)として残す取り組みを進めるべきだ」としている。